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36.白い蝶たちの邂逅

短いです。



 おそらくここは夢の中だ。



 そう思った理由は私が現在いる場所にある。

 私は加護の森にいた。師匠の家の近くの森ではない孤児院の近くの森。

 天空神殿に私はいるわけだからこれは絶対に夢だ。


 夢ならば楽しむまで。あたたかくて気持ちいいおひさまのにおいを胸いっぱいに吸いこんで、太陽の光に透かされた黄緑色の光の下を歩く。


 アルトの愚痴を聞いていた小川のそばを通り過ぎ、ルーと出会った崖を通り過ぎ、リカとはじめてまともに話したときのくるみの木を通り過ぎる。


 どこに向かっているのかはわからない。

 だけど私の足は目的を持って歩き続ける。なにかに導かれるように。


 そして出会った。

 

 「素敵な場所だね」


 前方で葉を透かす緑色の光に照らされ、美少年が私を見てほほえんでいた。


 白髪にモスグリーンの瞳の男の子。

 年はアースと同じくらいに見えるから、12歳か13歳といったところか。

 知らない子。だけど見覚えがある。


 「あんた誰?」

 「はじめまして。俺の名前はサラ。君は?」

 「私はリディア……あー!あんた、闇の精霊にやられてピンチな子じゃん!」

 

 指をさせばサラはにこりと笑みを浮かべて私の手を取り歩き出した。

 サラからは怖い感じはしないので手をつないだまま彼と一緒に歩く。


 「ここ夢の中だよね?どうして私の夢の中にあなたがいるの?」

 「うーん。この子たちのおかげかな?」


 二匹の光の蝶がサラの体から飛びだした。

 サラの体から出てきた光の蝶は、私が今日サラの体の中にいれた光の蝶。


 「俺の体の中に君の魔力が入ったことで、繋がりができたみたいなんだ。だから俺は君の夢の中に干渉できる」

 「ほお!すごい!」

 「ごめんね。話し相手がほしくってついつい君の夢の中に入ってしまった」

 

 サラは申し訳なさげに肩を下げる。

 はじめてのタイプだ。私の知り合いはなぜかみんなそろって個性が強い。だけど彼は今まで出会ってきた誰よりも落ち着いていて、頼ってしまいたくなる、そんな子。マイナスイオンが出ているみたい。


 「わがままを言ってもいい?君がこの天空神殿に滞在している間だけでいいから、俺と友達になってくれないかな?」

 

 でも誰かに似ているんだよなーと思って気が付いた。サラはアオ兄ちゃんに似ている。

 アオ兄ちゃんからSっ気を抜いて、とことんやさしくふわふわにした感じ。絵本に出てくる王子様みたいな。

 つまりどういうことか。


 「うん!友達になろ!」


 秒でなつきました。

 即答した私を見てか、サラは楽しそうに笑う。


 「君のことを教えて。君はどこに住んでいるの?」

 「私はねぇ…」


 私たちは夢から覚めるまで語りつくした。





目覚めた私は首を傾げる。

ザハラさんが「あの子を助けて」って言っていた「あの子」はサラのことだよね?

サラとザハラさんは瞳の色が同じだった。

2人の関係ってなんだろう。姉弟?従弟?友達?…親子?


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