その笑顔は、反則だから
今後のキャラ設定も兼ねた作品。
山里は、梨川に恋心を抱いているが、それを心にしまっている。
がゆえに、苦悩していることを心の中で想っている。
ま、小説とは言えないけど、今後には必要な作品。
僕は昔から。
それほど流行ってないものとか。
みんなが興味ないものとか。
人とは違うものの方が好きだった。
というか。
自分の好きなものは、周りに影響されることなく、自分で選んできた。
面白いものは問答無用に面白いし、好きになるものは好きになるんだから仕方ない。
僕にとって何かを選ぶにも自分の価値観が一番だった。
それが時に、変わってるねといわれようとも。
周りから奇異の目で見られようとも、そんなの関係なかった。
僕は僕だから。
でもまさかこの僕が。
男の人を好きになるとは思ってなかった。
今までだってずっと、男の人に対して恋愛感情を抱いたことなんて一度もないし。
女性と付き合うのが当たり前だと思ってた。
男の人を好きになるという価値観を持ってるなんて、さすがの僕でも思わなかった。
だけど。
あの人と初めて会った時、ちょっと緊張しながら挨拶する僕に。
あの人は今と変わらないあの笑顔で優しく声をかけてくれた。
「初めまして~。今日一緒に仕事する山里君って君だよね?」
その笑顔に一瞬。
何でかわからないけど、どきっとした。
最初は意味が分からなかった。
何だ、このドキって。って普通に疑問だった。
でも。
それからも廊下で会えば、気軽に声をかけてくれ。
仕事の現場に様子を見に行けば、嬉しそうに「来てくれたんだ??」って声をかけてくれて。
時々、僕が指定する仕事が大変だって文句を言ってきたり。
それなのに簡単にクリアしてきて「どやぁ」って顔をされたりするけど。
一緒に喋る時間が楽しくて。
一緒にいられることがうれしくて。
気がついた時には、もう僕はあの人に恋をしてた。
この感情が恋なんだって気づいたとき。
報われない恋だってこともわかってた。
男同士の恋愛が世間的に普通じゃないことも。
今まで何度も周りから「変わってるね」と言われてきた僕でも。
この感情は表に出しちゃいけないって思った。
だから僕は、あの人の笑顔を見るたび沸き上がる恋心を抑えこんで。
飲み込んでしまえば。
少なくとも同じ世界にいる限り、ずっと側にいられる。
あの人の笑顔を見れる。
それだけで幸せだと。
それだけで十分だと。
そう思おうとした。
だけど。
あの人の笑顔を見れば見るほど。
その笑顔で声をかけられるたびに。
恋心を抑えなきゃと思う一方で。
あの人の笑顔を独り占めしたいという感情が強くなる。
僕の全てを捨てて。
あの人の全てを手にいれたいと。
あの笑顔を僕だけのものに。
そしてあの笑顔を見ることが出来るのも、壊すことが出来るのも。
僕だけになればいいのに。
でも、やっぱり手に入れられなくて。
臆病とかじゃない。
僕の大好きなあの笑顔。
あの無邪気な笑顔を見れば見るほどそう思う。
あの人の笑顔を僕だけのものにしちゃいけない。
僕みたいな人間に独占されるべきじゃないって。
穢されちゃいけないって。
独り占めしたいほど大好きな笑顔なのに。
決して手に入れてはいけない無邪気な笑顔。
僕の近くにあって、すぐにでも手に入れられる距離にあるのに。
絶対に手に入らない宝物。
この僕がこんなにもやもやしちゃうなんて。
やっぱり。
あなたの笑顔は反則ですよ??
閲覧ありがとうございました。
BL苦手な人には興味ない作品だと思いますが、意外と読んでみると面白いもんです。
同じ性別同士だからこそ、抱く苦悩や葛藤が美しいのがBLの良さかと思っています。
その入り口に、片足を突っ込めるようになれたらと思いながら、書いてます。
今後、この二人の小説を順次アップする予定です。
二人のことを愛してもらえるような作品を書ければと思います。