星のかけら
掲載日:2015/09/01
秋が近いことを感じさせる、肌寒い風と乾いた草の音を彼女と共に聴く。
風向きが変わる度に、隣に座る彼女からは甘い香りがした。
ボクは何だかおかしいようだ。
「星のかけらを探しているの」
彼女は小さな鞄の中から、ほんの僅かな月光に輝く石を取り出す。
儚く輝く小さな石は、今にも溶けてなくなってしまいそうだ。
まるで彼女に食べられてしまうかのよう。
「ボクにも手伝える?」
そう問うと、彼女はほのかに笑んだ。
君のその微笑みも、今日で消えてしまうのか。その石みたいに。
「あなたにもたくさん手伝ってもらったわ」
申し訳なさそうな顔で、けれど嬉しそうな顔で答えられる。
「手伝った覚えはないのだけれど」
ボクの方こそ困ってしまう。
声とは裏腹に、ボクは全く困っていなかった。
「でももう、今日でこれを集めて探すのは終わりなの」
悲しい顔で。嬉しい声で。
彼女も何だかおかしいようだ。
「明日からも夢を諦めないで」
彼女の瞳からひとつぶの光が落ちる。
ねぇ、行かないで。
「もう私に星のかけらを探させないで」
お願い、行かないで。
もう少しそばにいてよ。
「諦めないで」
最期にそう言い残して、彼女の姿は月の光になってしまった。
さようなら。
ありがとう。
8月中に投稿したかったのですが、遅刻しました…。




