004
「これで問題はないかな?」
ああ、あんまりスキルを増やしすぎても器用貧乏になりかねん。
自分ではいろいろ吟味した結果だ。
「おっけ~。
それじゃ最後になるけどこの世界の現状だよ。
今のところ人類の活動圏は全体の1割弱なんだよ。
いろいろ理由はあるけど一番の原因が魔獣。これのせいでここ数百年生活圏を増やせずに若干行き詰ってるんだ。
2000年ほど前までは高度な文明が栄えていたんだけど、突如発生した魔獣によって一度滅びている。それ以来魔獣たちに押されるように人類は各地へ追われ、文明の痕跡は森の中に沈んでしまった。
詳しいことは『世界知識』に入ってるから暇な時に調べてくれればいいよ」
へぇ、そんなことが。
『世界知識』を意識すると滅びた理由が頭の中に流れ込んでくる。
どうやら高度な魔法があふれた結果、その過程で変質した魔力や魔導実験で排出された《瘴気》が生物の根源を捻じ曲げた結果《魔獣》という存在が生まれたわけだ。
どこの世界でも汚染はつきものなんだな。
今では文明の痕跡は森に呑まれ、ダンジョンや遺跡と呼ばれているそうだ。
時折その中から遺物、《アーティファクト》と呼ばれるものが出土されるらしい。
そのうち探しに行ってみるのもいいかもしれないな。
「とりあえずキミにお願いしたいのはこの生活圏の拡大。
町の周りの魔獣の殲滅でもいいし町や村を行き来して物流を促進させてもいい。
可能ならば新たな土地の開墾なんかが望ましいけどそこまでは言わないよ」
つまりは冒険者として世界をめぐり、そこで問題を解決していけばいいと。
なんだか楽しそうだ。今からワクワクが止まらない。
「まぁ強要するつもりはないから好きにしてくれればいいよ。
もともとこちらとしても新たな動きがあれば儲けものくらいのつもりだから。
キミという一石を投じて世界がいい方に動けばそれでよし。動かなくても何らかのきっかけになればそれもよし。
今回の件はそういった実験的な部分もあるから気負わずにいってくれればいいよ」
好きなようにしていいわけか。
「スキルに関しては初めのうちは上がりやすくしておいたからそう遠くないうちに最低限使いこなせるようにはなるはずだよ」
おぉ、それはありがたい。
行ってすぐに死にましたでは面白くないからな。
「さて、僕からはこんなところかな。質問は?」
このままいけば向こうに着くのか?
「うん、町の近くでなるべく魔獣が弱いあたりに降ろすつもりだよ」
それなら何とかなりそうだな。
あとは服装とかどうだろうな。
「そこら辺は一般的な町服にするつもりだよ。
どうせ肉体を再構成しなきゃいけないからそのついでにぱぱっと作っちゃうつもり」
ん、あとは……特にないかな。
「了解~。
それじゃあそろそろ送ることにするよ」
あぁ、いろいろと助かった。
「うん、もう会うことはないだろうけどここからいつでも見守っているよ。
それじゃあ、キミの行く末に幸多きことを」
そう言って手をかざすと俺の意識はだんだんと闇の中に沈んでいった。




