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突撃 粉砕 勝利!!

お久しぶりです

何とか書きあがりました


さて、当初の予定とは逆になってしまったが探索を再開しよう。

周辺はマイナーエントが暴れたせいで木が倒れたり地面が削れたりしている。

戦闘音のせいで逃げてしまったのか周囲には生物の気配が全くない。

このまま奥に進んでもいいのだが屋根のないところでの野宿は勘弁してほしいのでセリューに向かって来た道を戻ることにした。






もともとそれほど奥の方まで進んでいなかったため昼を少し過ぎるころには森の境目へと到達した。

道中何度もゴブリンに遭遇したがフォレストウルフは人数の多いこちらを警戒してか襲ってくることはなかった。

もちろんゴブリンは返り討ちにして魔石を抜き取っておいた。

どれもが無色透明の1cmしかなく、一般には1級品と呼ばれる価値の低い物だ。

魔石は大きさで等級が分かれており、1つ等級が上がるごとに倍の大きさになる。

大きい物ほど内包する魔力が多いため高級品として扱われるようになり、過去に英雄と呼ばれた者が倒したSランクの火竜の魔石は5級、直径16cmで目の覚めるような赤色だったという。

現在はどこかの国で国宝として扱われているらしい。

それ以上の大きさとなると天然ものか人工魔石ということになるが現在はその存在は確認されていない。



まぁ何が言いたいのかと言われればゴブリンから取り出したこの魔石、無属性1級品であるが市場では最安値で取引されるためクズ魔石なんて呼び方が浸透していたりする。

ここら一帯にすむ魔物はだいたいがクズ魔石持ちなのでその強さもお察しというやつだ。

冒険者としてはここらの魔物の相手をしていても収入にならないためゴブリンやウルフとの戦闘になれた者はさっさと他の町へ行ってしまう。

そのためセリューには熟練の冒険者という者たちが非常に少ない。

そしてセリューは交易の要という点もあって商人たちの行き来も活発だ。

行き交う荷物が多くなれば当然それを狙うならずものも出没する。

特に魔物が弱い地域は盗賊の勢力が強くなりがちで、領主はこれにあてる軍事費で大いに頭を悩ませている。

商人たちも護衛を雇ったりもするが被害がなくなることは決してない。






などと長々と語っていたがテンプレという物は例にして踏襲するもののようです。

つまり、



おまわりさん、盗賊です!



視線の先には街道を爆走する2頭立ての荷馬車とそれを追う20人以上の集団が見える。

荷台の後ろから護衛と思われる人物が二人応戦しているがどうにも分が悪いようだ。

そのうち盗賊の一人が放った矢が荷馬に当たり激しく横転したため、巻き込まれるように馬車もひっくり返って荷物をぶちまけた。

もはや一刻も猶予がないため《従魔の書》からゴブリンライダーとウルフを20体、それとロックボアを1匹召喚してまたがる。

準備が整ったら全員に突撃指示を出した。



先頭は俺のまたがるロックボアで後続にゴブリンライダーが追従する。

陣形は魚輪の陣だ。

激しく上下するために今にも振り落とされそうだが何とかこらえて前を見据える。

盗賊もようやくこちらに気付いて矢を射かけてくるが剣を持ったゴブリンが打ち払っていく。

あと20mほどというところで陣形が変わり、槍を持ったゴブリンが前に出る。

奥の方で親玉みたいなやつが何か喚いている奴がいるが無視だ。

そして激突。

ロックボアの正面にいた奴が何人か吹き飛び、あるいはゴブリンの槍に突き刺される。

そのまま離脱。

100mほど離れてから旋回した。

轢き逃げの結果盗賊集団の3割強を削り取ることができた。

何人か逃げ始めているが逃がすつもりは全くない。

ゴブリンライダーの持つ槍は中ほどで折れるか盗賊が突き刺さったままで使い物にならないのでウルフを残して送還する。

身軽になったウルフは遊撃として逃げた盗賊を追わせた。

もう一度陣形を組み替え鴈翼の陣で削り取るようにして再度突撃。

今度は通り過ぎずにその場で散会、各個撃破させる。



第一波で浮足立っていた盗賊たちはほどなくしてその躯を野にさらした。

ゴブリン達に命じて盗賊の持っていた金品などを集めさせる。

その間商人たちの様子を見ることにした。

ロックボアから降りて振り向くと護衛の冒険者と目があった。

あちらは剣を抜いてこちらを警戒しているようだ。

投げ出されたときに負傷したのかところどころ血がにじんでいて時折そちらを気にするが、切っ先はしっかりとこちらを向いている。

商人は荷馬車の陰でうずくまっていた。

こちらは大した怪我ではないようだ。

もう一人の護衛は女性のようで商人を守るように武器を構えている。

1歩踏み出すと護衛の男性が制止の声を上げた。


「とまれ!」


それを受けてもう一歩踏み出そうとした足が止まる。


「動くな。あんたはいったい何者だ?」


「怪しい者じゃない、やばそうだったから助けに来ただけだ」


「魔族か? 俺たちをどうするつもりだ」


どうやら完全に誤解されているようだ。

従魔と一緒に現れたせいで魔物の類と勘違いされている。

一つため息を吐いて答えた。


「れっきとした人間だ。べつにお前たちに危害を加えるつもりはない」


「魔族が化けているのかもしれん。証拠は?」


「信じてくれとしか言いようがないな」


「じゃあ仮にそうだとしよう。俺たちをどうするつもりだ?」


「ふむ」と少し考えるしぐさをする。


「まずはその傷でも治療するか?」


「後ろの魔物は? 油断させて襲いかかるつもりか?」


ちらりと俺の後ろへ視線を向けすぐに戻す。


「こいつらは俺の使い魔だ、命令なくして動かん」


「そうだな、いったん消しておくか」とつぶやいてすべて送還した。

後ろからゴブリン達の持っていたものが落ちる音が響く。

それを見て冒険者二人は唖然とした表情を見せる。

もちろん何の勝算もなく送り返したわけではない。

いざとなれば結界で防御すればいいからだ。


「さて、これでも信用できないか?」


その様子を見てしばらく二人で相談していたがようやく結論が出たようだ。


「いいだろう、あんたの治療を受けよう」


そう言って剣を下ろす。

もう一人は油断なく剣を構えていていつでも切りかかれる体制だ。


「そう言えばあんた、治療系のスキルは持ってるのか?」


「聖属性をな」


それを聞いてまたもや驚く二人。


「あんた『教会』の人間なのか? にしては魔物と一緒に……」


「何かおかしいか?」


「そりゃそうだ。聖属性持ちは『教会』が全員管理している。それに教会は反魔物を謳っている。ついでに反魔族もな。教会に知られれば拷問確実だぞ」


うわ、それはまた嫌なことを聞いた。

どうやらこの世界の『教会』とやらは魔物を根源的な悪と決め付けるタイプのようだ。

それに魔物を従えるとされる魔族との徹底抗戦も掲げているらしい。

もともとは過去に存在した『光の英雄ラトミス』の栄誉を称える集団だったのが、いつの間にか宗教化して『光神ラトミス』を祀る集団になったのに端を発する。

教会は光神ラトミスを唯一神として、かつてラトミスが戦った魔物を絶対悪としたことにより生まれた宗教らしい。

長い時をかけて伝来がすげ変わる典型的な例だな。



ちなみに魔族は教会の言う悪の象徴とは全く関係なく、もともと人類だった者が魔力により変異し、しかし理性が残ったままであったため人目につかない場所で暮らし始めたのが始まりである。

現在ではその子孫が国を作り人類と関わらないように暮らしているが、魔族独自の技術や土地を欲した教会が名目上敵としてでっち上げたのが反魔族思想だ。

教会とは権力と欲の皮の張った万金主義者の集まりらしい。

今後『教会』とはあまり関わらない方がよさそうだ。


まぁ、ケンカ売られたら潰すけどな。


そんなわけでさっさと二人の治療をしていく。

使うのは聖属性魔法の『ヒーリング』だ。

淡い光が二人を包むと傷がたちどころに癒えてゆく。

着ている服や防具についた血はそのままだが体調は回復したようで表情もいくぶん和らいでいる。


「本当に聖属性が使えたとはな……。いや、疑って悪かった。教会によれば魔族は聖属性を使えないらしいからな」


「ありがとう、おかげで助かったわ。助けてもらっておいて悪いけどもう少し助けてくれるかしら?

お礼はちゃんとするから」


誤解が解けたことで後ろにいた女性冒険者の方も話に加わってきた。


「それは構わないが何から手伝えばいい?」


「それじゃあ馬の治療をしてもらえるかしら、このままじゃ荷物が運べないわ。

私たちは馬車と積み荷の方を直してるから、何かあったら呼んでちょうだい」


そう言って横倒しになった荷馬車をコツコツと叩く。


「なんだったらそっちも手伝うぞ?」


どうせ一度見られているのだ。

なら『召喚術』を世に広めるために便利さをアピールしておくのもいいだろう。


「じゃあ馬の治療が終わったらお願いね」


「いや、同時にできるから問題ない。使い魔を召喚してもいいか?」


「使い魔っていうのはさっきつれて他連中か?

問題はないのか?」


「さっきも言ったが命令にないことはしないから安心していい」


「そうか、なら頼む」


そういうことなのでゴブリンを20体呼び出して手伝うように指示を出した。

3人は光とともに突然現れたゴブリン達に驚いていたが襲ってくる様子もないことに次第に警戒を解いて作業を開始した。

ゴブリン達はそれを手伝うように動いている。

一方俺は馬車の前に回って馬の様子を見ることにした。

矢が当たった馬は致命傷ではなかったものの、その後転倒した時に首を折ったのかすでに息絶えていた。

もう一頭の方は転倒に巻き込まれたときに足を怪我したらしく動けないようだ。



まずは荷馬車を立て直すために馬車から馬を開放する。

その後はヒーリングで傷を癒していく。

馬の方も助けられることが分かってかおとなしくしていた。

単に動けないだけかもしれないが。

治療が終わり軽く手綱を引いてやると立ち上がって何事もなかったかのように歩き始める。

なでてやると気持ちよさそうに首を寄せてきたのでそれなりに助けられたのを理解しているのかもしれない。

荷馬車の様子を見ると商人が指示する荷物をゴブリン達が荷馬車に積みこんでいた。

中には割れたりこぼれたりしたものもあるようで、そちらは放置されたままになっている。



作業がひと段落するころにはあたりもだいぶ片付いていた。

積み荷も幾分か減ったようだが荷馬が一頭しかいないためちょうど釣り合いが取れたのかもしれない。

俺はゴブリンに指示を出して盗賊の荷物集めを再開させる。

その様子を眺めていると後ろから声がかかった。


「先ほどはすまなかったな。

そう言えばお礼がまだだったか、ありがとう、助かったよ」


「いや、困った時はおたがいさまさ」


「それにしても変わったスキルだな、魔物を従えるなんて聞いたことがないぞ。

あぁ、自己紹介がまだだったな。俺はカッツ、セリューの町で冒険者をしている。ランクはDだ」


そう言って冒険者登録証を見せてくる。

だいたい20代前半だろうか、ややくすんだ金髪を短く刈りそろえている。

体格はそれほど大柄ではないが無駄な脂肪は一切付いておらず、いわゆる細マッチョというやつか。

自身があまり筋肉質でないので少しうらやましい体形だ。


「俺はカナタだ。これから街に行って冒険者登録をするつもりだ。

それより盗賊の持ち物何だが、みんなで分けた方がいいか?」


「いや、盗賊の持ち物は倒した者の物になる。全部カナタが持っていっても誰も文句は言わないさ」


「それならありがたくもらっておくよ」


盗賊の持っていた武器を確認しながらアイテムボックスに押し込んでいく。

防具はどうしようか迷ったがろくに手入れもされずひどい匂いがしたので捨て置くことにした。


「防具はいらないのか?」


「あぁ、ひどい匂いで使うつもりにもならないからな」


「それなら売るといい。こんなのでも武具は貴重だからな」


そう言われて思い出した。

この世界は技術が退化してしまっているため現状維持だけでもやっとのありさまだ。

それは武具に関しても同じで中古を何度も使いまわすのが当たり前、何度も修理したためによくわからない見た目になってしまう鎧なんてよく見る光景らしい。

そう言えば先ほど回収した武器もそれほど質のいいものではなかった。

製鉄に必要な技術が一部、あるいは致命的に失伝してしまったのだろう。


「そうすることにする。どこかいい店を知らないだろうか?」


「それならバーゲルさんに聞くといい、商人のつてでいい武具屋を紹介してくれるだろう」


「バーゲル?」


「ん? あぁ、俺たちが護衛していた商人さ」


「ふむ、ならそっくりそのまま渡してしまうのもいいかもしれんな」


俺は何となく思いつきでバーゲルという商人に投資してみることにした。

馬と積み荷を幾分か失っている今恩をうっておけば後々何か役に立ちそうだという裏心もある。

どうせもとは盗賊の持ち物なのだから懐は痛まない。

ならばここは感に従うのが何となく正しいような気がした。

それを知ってか知らずか護衛を伴った商人がこちらへとやってきた。


「先ほどは助けていただいてありがとうございます。それに馬の手当てや荷物の積み込みまで、何とお礼を言っていいのやら」


「本当に助かったわ。まさか聖属性持ちに出会えるとは思ってもなかったけどおかげで前より調子がいいくらいよ」


「いえいえ、困った時はお互いに助け合わなければ生きていけませんからね。今回はたまたま近くにいたのが俺だっただけですよ」


「それでもです、本当にありがとうございました。

あぁ、申し遅れましたが私は商人をしているバーゲルと申します。以後、見知りおきを」


「私はモリア。そこのカッツとパーティーを組んでる冒険者よ。ランクはD」


バーゲルは30代後半ほどでなんというか、トル○コそっくりの外見をしている。

ゲームで見慣れている俺としてはそこはかとなく親近感を感じるのだが。

まぁ悪い人でないのは確かだろう。

一方モリアは赤っぽいこげ茶の髪を肩のあたりで切りそろえた20歳くらいの女性だ。

外国人っぽくスタイルがいい。

カッツと並ぶと美男美女という感じだがこっちの世界はみんなこんな感じなんだろうか。

とりあえずこちらも自己紹介をしてセリューへ行くつもりだと告げる。


「おぉ、それでは一緒に馬車に乗っていきませんか?

まさかそのままロックボアに乗っていくわけにはいかないでしょう」


スキルに関して聞きたそうにしているものの口には出さないあたり、商人としては信用できそうだ。

ありがたく一緒に乗せてもらうことにした。


「それで盗賊から剥ぎ取った武具に関してですが、自分には必要ないし売却する当てがないのですべてバーゲルさんにお渡ししようかと思うのですが……」


「それは私に買い取ってほしいということで?

さすがにこれだけあると私には払えないのですが……」


「いえ、そういうことではなく無償でお譲りします」


それを聞いてさすがに驚く全員。


「さっ、さすがにそれは!

助けていただいた上にこれほどの物をもらっては何ともお礼のしようがなくっ!」


「う~ん。じゃあこう考えてください。

もともとこいつらのせいでバーゲルさんは馬と荷物を失って、その損失分を盗賊から取り立てたと思ってもらえれば」


「さすがにそういうわけには。盗賊の持ち物は倒した者の物になるというのが不文律でして、我々はただ見ていただけでしたのでこれは正式にあなたの物となります。さすがにただでいただくわけにはいきません」


う~ん、もう少しか?


「ならば投資ということならどうでしょう?」


「投資、ですか?」


「えぇ、このままですと損害を受けたまま商売を続けることになりますが武具を売れば幾分か損失分の補填になるでしょう。それを利用して得た利益の一部を余裕があるときでいいので何らかの形で返していただく、というのならどうですか?」


「まぁ、それでしたら……」


まだ少し渋っているようだがこれで何とか商人とのコネができた。

あとはこれを少しづつ広げて人望を築きあげれば野望への第一歩だな。


そう、内心で確信したのであった。



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