002
あっさりと言ってのける影に俺は胡乱げな視線を投げかける。
最も現状目があるかも怪しいが。
それで俺はなぜここでこうして影と会話(?)などをしているのか。
「あぁ、それはだね。
ぜひとも君にやってほしいことがあって」
そう言葉を投げかけてくる。
いや、すでに俺は死んでいてどうこうできるわけではないのだが。
思えば16年、ずいぶんと短かった。
そんな風に黄昏て見せるが、影はそんなものどこ吹く風と続ける。
「とりあえずそこら辺は置いておこう。
あとからどうにでもなるしね」
そんな風にあっさりと言ってのける。
というか軽く流しそうになったけどどうにでもなるってあんた何者?
「あ~、管理者って言ってもわかりづらいかな。
いちおうキミたちの概念で言うところの『神』に近いものだと思ってもらえればそれでいいよ」
神様!?
それにしてはさっきから口調が軽いが。
それとも神というのは得てしてこういうものなのだろうか?
「いや、厳密には違うから同じと思ってもらっても困るけど……」
つまり神様にはてしなく近い何かだと。
「話が進まないからとりあえずそれでいいよ
それでお願いしたいのは僕の管理する世界への転生なんだ」
転生?
物語なんかでよくあるあれか?
実際自分も好きでよくそれ系の本なんかも読んでいたが。
「そう、その転生
キミにはいくつか能力を付与して転生してもらいたいんだ」
それはいいんだがなぜ俺なんだ?
こんな何処にでもいるような高校生を?
「まず一つは順応性かな。若い方が転生後のなじみも早いし。
幸いにもキミには異世界転生の知識もある。
そして何より重要なのはキミの魂の持つキャパシティーだね」
魂のキャパシティー?
「言い換えれば生まれ持った能力というやつだよ」
いやいや、何度も言うが俺は普通の高校生だぞ。
今まで生きてきてこれといった才能を自覚したことすらない。
「それはキミの能力が生まれた世界に適合していなかったからだね。
ようは才能はあるのにそれを発揮する環境がなかったということだよ」
えっと、つまり?
「キミの才能とは『魔力』だよ。
科学の発達した世界で魔力なんて無用の長物だからね。
もっともそのおかげでこうしてキミを見つけて、キミの世界の管理者にお願いしてこうして引っ張ってきたわけなんだけど」
つまりこれから転生する世界では魔力が必要だと。
「その通り! もうわかったと思うけどキミに行ってほしいのは剣と魔法のいわゆるファンタジーな世界だよ。
もちろん魔物とかもバンバン出るから先も言ったようにいくつか能力を付けてあげようと思う」
ちなみに拒否権は?
「ないね、もうこっち連れてきちゃったし」
オイ!
せめて連れてくる前に聞けよ!!
まぁ、もちろん面白そうだから断るつもりもないが。
どうせ一度死んでるし。