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魔法の常識を覆します

まだまだ説明回。そろそろ冒険に出たい……。


一通りの確認が終わったので次はスキルの検証に入ろうと思う。

特に魔法の検証は大事だ。

先ほど使った火属性魔法はとっさのことだったので思い切り投げつけていたが、実際の魔法は意思のみで行使される。

詳しくは準備段階として作用や目的、規模を思い描く『構築』。

思い描いた意思とともに魔力を込め、魔法として顕現させる『発現』。

目標を指定して効果を及ぼす『実行』の3つのプロセスによって行われる。


一般的に魔法は準備段階である『構築』が最も重要視されている。

曖昧なイメージでは発現の段階で魔力が散ってしまい、規模を指定しなければ思うような効果を出せない。最悪自身を巻き込む可能性さえある。


先の魔法に例えるならイメージがあまく構築がうまくできていない。

発現段階で散っていく分は有り余る魔力にものを言わせて無理やり形にする。

実行は意思があまく投げるポーズが必要、とどれもが未熟であった。


つまりは魔法だと思っていたのは実は火属性の魔力塊を投げつけるだけの力技だったということだ。

実際もしあの場に一般的な魔法使いがいたならばなぜ攻撃として通用したのか大いに頭を悩ませていたに違いない。



閑話休題


とりあえず今後のためにも魔法の扱いに慣れておくのは重要だ。

さしあたって野営に必要な火と水である。


人差し指を立ててロウソクが燃えるようなイメージで魔力を指先に集中する。

するとポゥッと音を立ててライターほどの火がついた。

次はそこに酸素を送り込むイメージで魔力を流すとだんだんと火が青白くなってゆく。

一瞬さらに核反応をイメージしたらもっとすごいことになるんじゃないかと思ったが後が怖いのでやめておいた。


今度は手のひらを上にして大気中の水分を集めるように意識してみる。

次の瞬間手のひらの上の空間にもやがかかったかと思うと、それは凝縮して水の球になった。

魔力を直接水に変換もできるが空気中から集める方が魔力効率はいいようだ。

水玉に向けていた意識を解くと手のひらを濡らして地面にこぼれて行った。



その後もいろいろな属性を試してみた。

氷は物質の原子活動を止めるようなイメージで、木は細胞分裂を促すような感じでどれもがうまくいった。

その中でも一番面白い反応をしたのは土魔法だった。

はじめは土と漠然と思い描いてもなかなかうまくいかなかったが、元素記号の鉄や銀をイメージするよすんなりと発動したのだ。

もちろん手元には純度100%の鉄と銀の塊がある。

試しに化合物でも大丈夫かと二酸化ケイ素(水晶)や酸化アルミニウムにクロムの混合物ルビーをイメージするとこれまた成功したため、人の頭ほどの大きさの水晶やルビーの塊ができてしまった。

さすがにこのまま市場に出すのはまずいがお金に困ったら小さく砕いた物を売ることにしよう。

ついでにミスリルやオリハルコンなんかの魔法金属ができるか試してみたがこっちは無理だった。

どうやら魔法金属は錬金術の方の分野になるらしい。

製作方法は知識に入っているので生産体制が整ったら作ってみようと思う。


毒魔法も似たようなもので、自身が知っている薬物はいろいろと作れるようだ。

さすがに危なくて作らないが。

こちらでは気体や液体も作れるらしい。

試しにヘリウムガスを作ってみたら見事に声が裏返って笑いが止まらなくなった。

応用すれば何か面白いことができそうだ。

おもに変装とかに……。


とりあえずこれらの魔法があれば鍛冶術の鉱石の仕入れはしなくて済みそうだ。


そう言えばこちら側では魔法はそのまま相手にぶつけられるものが多かった。

ぶつかった後の効果こそそれぞれであるがどれもがただ飛んで行ってぶつけるだけである。

そこで発現した魔法に回転運動をさせてみることにした。


何度か試射した結果、実体系(水・土・氷)は威力と命中精度が上がり、非実体系(火・風・雷)は威力と射程が上がることが分かった。

ここでは狭くて調べられないが一般的な魔法の限界射程である150~200mは優に超えていると思う。

ついでなので土魔法は鉛を銅でコーティングした『ジャケット弾』、鉛そのままの『ソフトポイント弾』、弾頭を窪ませた『ホローポイント弾』、水銀や薬物を銅でコーティングした『水銀弾』、途中で分解して釘をばらまく『フレシェット弾』も開発してしまった。

こいつらは前世のライフル銃をイメージしたため最大射程は2kmを軽く超えるだろう。

宮廷魔道師が聞けば卒倒するレベルである。


ちょっとやりすぎた感はあるが後悔はしていない。


おかげで草原だった周囲は土がむき出しの荒れ地になってしまった。

このままにしておいて見つかると騒ぎになりそうだったので、土魔法で平らにした後木魔法で草を生やして元通りの空き地に戻す。



一連の作業で魔法にもずいぶん慣れてきたので今度は狩りをしてみようかと思う。

目指すのは周辺のモンスターをすべて《従魔の書》に登録することだ。

戦力は増やしておくにこしたことはない。

現状スライムだけでは非常に心もとないのだ。




というわけで現代知識のおかげでぶっ壊れ性能な土属性でした。

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