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メイジ オブ Mage  作者: 水無月ミナト
魔導書編 集める魔導師
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第二十七話 「入国試験」

「っしゃ! ようやくできた!」


 俺の唐突な叫びに、特急竜車でうとうとしていた全員が俺の方へ向く。

 中でも一番不機嫌そうなグレンが、睨むような目で見てくる。


「……一体なんだ?」

「いや、悪い。新しい魔法……みたいなものが、ようやく完成したから」


 声量を落としながら謝り、反省する。

 グレンの目ももっともだ。明日にはラカトニアに着くらしいが、それでも今は深夜。

 竜車は普通の馬車よりも広いが、特急なので広さも限られてくる。

 俺たちが今乗っている竜車は、全員がぎりぎり寝そべることができるくらい。


 深夜なので、皆体を横にしていたのだ。

 ユカリは俺の声にも起きては来ないようだが。


「どんな魔法ですか?」


 眠い目をこすりながら、フレイヤが訊いてくる。

 だが、俺はそれに人差し指を立てて答えた。


「お楽しみだ。ネリとの勝負に絶対必要なものだからな。

 とはいえ、目に見える魔法でもないんだが」

「魔力操作か?」

「そう。三年前からずっと試行錯誤をしてたんだけど、ようやく使い物になるようになったんだ」


 ミネルバの疑問に答える。

 ガラハドでさえやったことがない魔法のため、手探りの状態からやっていたのだ。

 しかも、魔力を流す場所が場所のため、細心の注意が必要だった。


 竜車の中でやるには憚られたのだが、早急に完成させないとラカトニアについてしまう。

 何せ運んでいるのがドラゴンだ。魔物の中でも上位に君臨するドラゴンは、夜通し飛んだって被害に遭うことはまれ。休憩の時くらいしか地上に降りないので、揺れることがよくある。

 それでも仕方ないので、やっていたわけだが。


 俺は集中を解いて、大きく息を吐き出す。

 これでネリがどれだけ成長していようとも、瞬殺されることはなくなったな。


「起こして悪かった。さ、寝よう。特にグレン、お前は入国試験を受けてもらうんだから」

「わかっているが、それは貴様もだろう?」

「そうだな。じゃあ、とっとと寝よう」


 言い、後ろへと倒れ込む。

 もう一度大きく息を吐き出すと、目を閉じる。

 起きた三人が再び寝始める気配を感じながら、眠りについた。



☆☆☆



 翌日の昼、竜車はラカトニアへと到着した。

 竜車は一日だけ休憩して、また客を乗せて飛び立つとのことだ。


 剣の国【ラカトニア】

 大きい島が二つ、小さい島が無数にある、群島の自治領だ。

 位置はシードラ大陸北側のアクトリウム皇国、中央海域側。


 誰の領地かと言えば、最も強い剣士の領地だ。

 大きい島の片側が、武者修行のためにやってくる剣士たちが集まる通称・剣島。

 もう片方の島には、十分に修練を積んだと思った剣士たちが、依頼を待つために滞在する通称・傭兵島。


 俺たちは迷わず剣島の方へと向かい、その入国ゲートの前で申請を行っていた。

 入国するには、いくつか方法がある。

 剣士として入国試験を受ける場合。その剣士の付き添いとして入国する場合。商人として商売をするために入国する場合。などなど。

 ただ、入国試験を受けなかった者は、ラカトニアの国内ではすべて少し高めの金を払わなければならない。


 俺たちの場合は……。


「ミー姉も受ける? 金は余ってるから、どっちでもいいんだけど」

「だからって散財していいわけでもないよ。それに、剣にだって自信はあるさ」

「そうですね」


 ミネルバの実家は剣の道場だったか。これは愚問だった。

 とすると、ユカリは剣を上手く扱えるわけでもないし、フレイヤはいわずもがな。

 俺とグレンとミネルバの三人か。


 っと、その前に俺だけやらなきゃいけないことがある。

 俺はリュックの中を漁り、目当てのものを取り出す。


「仮面か? なぜ今更」

「そりゃ、この国には天人族と魔人族がいるからだよ」


 T-REXではなく、もう一枚のフレイヤに彩色をお願いした方だ。

 それを顔に嵌める。


「忘れがちだけど、俺、今国際手配中だからな。顔写真は出回ってないし、レイア画伯が描いた似顔絵のおかげでばれはしないだろうけど」


 魔晶に閉じ込められた直後の、ヴァトラ神国から配信した映像を見ていたものがこの国にいれば、丸わかりだからな。

 しかし、本当に後先考えない行動だったよな……。


 これ、どうやって疑い晴らせばいいんだろう。魔晶を解くところをもう一度全国配信すればいいのかな。それで納得してくれるのだろうか……。

 あとは、イズモたちの王権に頼るくらいしかない。

 ネロとレックスは他人のそら似、まったくの別人赤の他人ですってゴリ押ししようかな。


 まぁ、その辺はどうとでもなるだろう。

 最悪、死ぬまで付きまとったって構いやしない。


「入国申請はあたしがしてくるよ。受付、海人族だったし」

「お願いします」


 ミネルバの申し出に頷く。俺、海語話せないからな。龍語ができれば、日常会話くらいできるらしいが。

 周りを見ると、他にも試験をしている者たちがいる。

 それらを見ると、白線が引かれた内側でやり合っているので、ミネルバが戻ってくる前に、空いている白線へと向かった。


 ミネルバが戻ってくるのを待つこと数分。

 木剣を持った三人の剣士と戻ってきた。

 彼らは俺たちを睥睨すると、鼻で笑う。


「なんだ、ガキばっかりじゃないか」

「こりゃ当たりかもしれねえな」


 完全にこちらを見下している彼らは、見た目は強そうだ。

 屈強な体はこれまで鍛錬を欠かさなかったことがうかがい知れる。剣士としてそこそこの実力はあるのだろう。

 だが、屈強なのは体だけのようだ。


 ミネルバがこちら側に来て、持っていた木剣を俺とグレンが受け取る。

 彼らの嫌味には特に返さない。どうせ無駄だし。

 受け取った木剣を軽く素振りして調子を確かめる。


 ……少し軽いな。重くしちゃいけないのかな?

 まぁ、これくらいなら許容範囲内だが。


「おい、もっと重いのはないのか? 軽すぎる」


 グレンが直球で聞きやがった。

 軽すぎるって、お前最近槍使っていたからそんなことないだろ。

 いや、確かにグングニルは使用者の使いやすい重さに変化する不思議機能付きだけど。


 グレンの質問に、三人はしばしぽかんとしていた。

 だが、やがてまた鼻で笑い、


「規定のものだ。それ以外は認められない」

「そうか……。加減を間違えるかもしれん。気を付けろ」

「ハッ、そりゃこっちのセリフだ」


 何とも喧嘩腰な試験官だ……。

 グレンの方は、本当に扱いにくそうにしている。

 土魔法には重量を増やすものもあるが、魔法の使用は、今この場では控えた方が賢明だろう。


「では、俺から行こう」


 一度斬り払いを行ったグレンが、そういって一歩前に出た。

 試験官のうち、一番でかい奴が相対するように前に出る。

 俺たちは邪魔にならないよう、白線から外に出て、様子を見守る。


「ルールは特にないが、勝敗条件は相手の膝をつかす、あるいは白線から押し出せば勝利だ」

「わかりやすくていい」


 ルール無用とか、危険だな。

 大丈夫なのだろうか。顔面に木剣が当たって、治療費とか払わされないよな?


「無論、怪我は自己責任だ。どれだけ重傷を負おうとも、保険なんかは一切ないからな」


 ちゃんと説明してくれた。試験官としては真っ当にやっているようだ。


「審判は特にいない。好きなタイミングでかかってこい」

「では――」


 説明が終わるとともに、グレンが駆けだした。

 一直線な、バカ正直な特攻。に、見える。


「バカな奴だ。カウンターの餌食だ!」


 そして、試験官もバカ正直にカウンターを合わせた。

 この場に置いては、試験官の方がバカだ。

 相手の力量をちゃんと調べられていない。


 グレンが、振り下ろされる木剣の射程ギリギリ手前、紙一重で一歩身を引いた。


「――っ!?」


 空振り、しかしバランスは崩さない試験官。

 その感覚はなかなかのものだが、やはりグレンには及ばない。


 グレンは振り下ろされた木剣の切っ先を踏みつけ、右手に持つ木剣を軽く振るう。

 狙いは顔面。そして、試験官の目前で寸止めする。


「――終わりか?」


 寸止めなんかしちゃって……。まぁ、グレンは加減を間違えて怪我をさせることを危惧しているのだろう。

 だが、終わりなわけがない。

 試験官の勝敗条件をちゃんと聞いていただろうに。


「……ッ、なわけねえだろ!」


 強引にグレンの足から剣を引き抜いた試験官は、数歩後ろに下がる。

 距離を開け、構えを直し、意識を切り替えたようだ。

 ただのガキと、油断はしなくなった。


「……加減が」

「グレン、姫様がいる。殺さなきゃ十分だ」


 まだ躊躇するグレンに、声をかける。

 こちらを振り向いたグレンは、少々不満顔だが、フレイヤの笑みを見て吐息した。


「わかった。ちゃんとしよう」


 最初からちゃんとしとけ。

 と、苦笑いしてしまう。


 そして、グレンの纏う雰囲気が一変した。

 殺意とまではいかないが、闘志が燃えているように見える。

 闘争本能でも全開にしたのかな。


「……やべぇな」


 試験官から、そんな声が漏れ、彼も苦笑いをしていた。

 確かに、今のグレンを見ればやべぇと言いたくなる。だが、まだまだ甘い方だ、この雰囲気は。

 闘争本能は全開だけど、殺意が出ていない。


 試験官は気合を入れ直すように細く息を吐く。

 その様子を見て、俺は仮面の下から魔力眼で見る。

 すると試験官の体に、魔力が纏わりついているのが見えた。

 闘気を使っている。


「……ふーん」


 闘気の流れを見るが、やってできないものではない、と思う。

 グレンの方が早く修得できるだろうな。


 グレンにも試験官が闘気を使ったことがわかったのか、より警戒を強める。

 そして互いに一歩を踏み出すと、音を立てて木剣がぶつかり合う。

 グレンが下段から、試験官が上段から、木剣が振るわれ、闘気を纏った試験官の木剣に、グレンが力で押し勝つ。


 上へと弾かれた試験官が、一歩下がるが、グレンはそれを許さない。

 下がった分の間合いを詰め、木剣の柄頭で腹を殴りつけた。

 背を曲げて苦悶の表情を浮かべる試験官から、一歩下がって彼の肩へと木剣を打ち下ろした。


「がっ……!」


 試験官が膝をついて、前のめりに倒れ込んだ。

 グレンは長めに息を吐きだし、木剣を肩に担いだ。


「終わりか?」

「ああ……終わり、だ。お前の勝ちだ」


 試験官がグレンの勝利宣言をし、グレンの試験が終わった。


「相手は日雇いっぽいですね」

「だね。たぶん、中で斡旋でもしているんだろうね」


 俺の推測に、ミネルバが頷く。

 だから、俺たちを見たときに彼らは「当たり」だと言っていたのだろう。

 実際は当たりから程遠いだろうけど。


「じゃあ、次は俺が行く」


 グレンと入れ替わりに、白線の中へと入る。

 魔眼は既に変色眼へと変え、両手で木剣を握る。


「パパがんばれー!」

「おー」


 応援してくれるユカリに手を振り、俺の試験官に向き直る。


「あーあー。なんでオレの相手がお前なんだよ」

「……」


 いきなり不満を言われた。

 俺の試験官チャラいな。俺もお前じゃない方がいいんだけど。


「一番弱そうな奴の相手なんて……まだあの姉ちゃんの方がいいぜ。それに仮面なんかして得体の知れねえ。

 お前、風貌からして魔法師じゃねえか。魔法師が来るような場所じゃないんだよ」

「お前にはこの木剣が見えていないらしい。あと相手の力量。言っとくけど、俺は前の奴より強い」

「そんな嘘が通じるかよ」

「……はぁ」


 手を顔に当て、ため息を吐く。


「……なんだよ」

「お前、見たとこ人族だろ。人族の使う剣技と言えば、三大流派のどれかだ。

 見かけからして、守り主体で全体的に筋肉がつく護神流でも、変な動きのせいで変な筋肉のつき方がする極神流でも、お前は違う。

 つまり、お前の使うのは攻神流だ。階級的には超級くらいか?

 加えて相手を見かけから判断して、力量も何もわからない。たぶんラカトニアじゃあ、そこそこの強さなんだろう。だから、外の相手を見下す。

 天狗になってくれている。こちらとしちゃ、願ってもないことだけど。

 ――と、俺にはここまで見えてる。あなたはどうですか?」


 相手が攻神流なら、相性がちょうどいいから護神流を使うか。

 超級程度なら、まだ何とかなるだろう。護神流も使えないわけではないし、いざとなれば変えればいい。

 どうせこの程度勝てなきゃ、ネリには遠く及ばない。


 俺の問いに、言葉が詰まっている試験官。それでよく試験官できるな……。

 日雇いだとこの辺が雑になるようだ。

 まぁ、どうせ勝つか負けるかだけのものなんだが。ここの試験なんて。


「護神流使うんで、先にどうぞ」


 答えあぐねているようなので、さっさと先に進める。

 別にどんな返しをされても、俺には正直関係ないし。


「舐めやがって……!」


 試験官が怒りの表情を浮かべ、ぎりっと木剣を握り締める。

 一直線に駆け出し、接近してくる。


 対し、俺は特に何もせずに、目を閉じる。

 全身から力を抜き、接近する気配に全神経を尖らせる。

 護神流の奥義にこんな感じのものがあったはずだ。まぁ、本の知識なので、実際に見たことはない。

 ていうか、周りに護神流がいない。


 試験官が真正面――いや、今、足を踏みしめて方向が変わった。

 右、さらに回る、後ろ、左、の下段。


 俺は左からの斬り上げに合わせ、木剣を打ち下ろす。

 木剣に衝撃が走る。どうやら正解らしい。


「……っ!」


 試験官の息遣いが聞こえた。弾かれた木剣を、さらに振ってくる気配がする。

 それに合わせ、今度は身を引く。

 服が風になびいた感覚がした。


「くそッ!」


 声は、正面。

 その方向へと、横薙ぎに木剣を振り抜く。

 切っ先に、何かが当たる感覚。浅く、軽い。かすめた程度だろう。


 踏み出しそうになるのをこらえ、腰を落とす。

 木剣は下段、次の攻撃で、決める。


「チッ!」


 風が起きる。足音はない。

 気配は――上? いや、跳んで背後に回るのか。

 人ひとり飛び越す……闘気を使っているのか。早いな。

 背後に着地音。それに合わせて、逆手に持ち替えた木剣で突き抜く。


「がはっ……!?」


 良い手応え。だが、まだ足りないだろう。

 体を反転させながら、足を振り上げる。


 目を開けると、前屈みになって俯いている試験官がいた。

 その頭上に、踵を叩き落とした。


「――よし」


 地面に這い蹲った試験官。

 最近は剣をメインで使うことが少なかったので、少し心配していたのだが。

 目を閉じてこれだけ戦えるのなら、十分だろう。


 ネリ相手に剣主体ではどうせ負ける。

 その時は魔法主体に立ち回り、剣を交えるくらいのつもりだが。

 ラカトニア内では、これで十分。


「終わりですか?」

「あ、ああ、終わりだ。お前の勝ちだ」


 倒れて動かない俺の試験官の代わりに、グレンの相手をした試験官が応えてくれた。

 試験は合格したので、俺は白線から外に出る。


「……気持ち悪い」

「普通に悪口言うなよな」


 グレンが引き気味に言ってきた。

 なんでこいつ、こう堂々と悪口言えるんだろう。もうちょっと慎みを持とうぜ。

 それに一言に意味が凝縮され過ぎて何が気持ち悪いのか上手く伝わらないぞ。

 どうせ目を閉じて戦うとか、魔導師のくせにとか、その辺だろうけど。わかる俺は何なんだ。


「パパすごかった!」

「おう、ありがと」


 見学していたユカリにハイタッチを要求され、それに返す。

 振り返ると、倒れたままの試験官が回収されていくところだった。

 そして、白線の中にミネルバが入った。

 ミネルバは手に持った木剣を左右の手で持ち替えて弄んでいる。


「それじゃ、さっさと始めようか」


 ひとしきり持ち替えた後、ミネルバは相対している女性の試験官に声をかけた。


「そうだな。だけど、私は油断しないよ。彼らの強さは十分わかったから」

「あたしはあの二人ほど強くないよ」


 試験官の評価に、苦笑を返すミネルバ。

 だが、そういっているミネルバもなかなかクセのある戦い方をする。

 ミネルバとの模擬戦で持った感想なんて、盗賊らしく手癖が悪い、だからな。

 本人から言わせれば、もともとそういう戦い方らしいのだが。


 相対していた二人が、同時に足を踏み出す。

 ミネルバは右手に持った木剣を、試験官の顔を狙って横薙ぎに振る。

 試験官はその攻撃を木剣で防ぎ、弾き返す。


 返す刀で逆袈裟にミネルバへと攻撃をするが、ミネルバは一歩引いてその斬撃を躱す。

 がら空きになった試験官の脇へと、ミネルバが木剣を打ち込む。


「ぐっ……!」


 咄嗟に身を引いた試験官だが、切っ先少しが脇をかすめた。

 両者の間に数メートルの距離が開く。

 どちらもまだまだ余裕のようだが、ミネルバは木剣に目を落として何度か頷いている。


「……うん、次で行ける」


 勝利宣言でもするように、ミネルバがつぶやいた。

 ……まぁ、実際勝利宣言なんだろうけど。


 そして、ミネルバが距離を詰める。

 右手を、体をねじるように左側から大きく振り、ミネルバの手に持つ木剣が試験官へと迫る。

 試験官は、今度はきっちりと反応し、木剣で防御しようとする。


 しかし、木剣がぶつかり合う、直前。

 ミネルバの木剣が、急に失速した。


「――ッ!?」


 目を見開いて驚く試験官は、タイミングがずれてミネルバの攻撃を防げない。

 ミネルバは、木剣を手放していた。

 攻撃の最中に、持ち手を変えるミネルバの剣技。


 左手に持ちかえられた木剣は、軌道をわずかに下げ、試験官の脇腹を強く打ちつけた。

 試験官は体を曲げ、痛みに耐えているようだが、さらに木剣を持ちかえたミネルバの攻撃が逆からすでに迫っていた。

 ミネルバの追撃は試験官の肩を打ち付けた。

 耐えきれず、片膝をついてしまった試験官。


「合格だよね」

「ええ……あなたたち、強いな」

「いろんな場所を回ってきましたから」

「三人合格だ。ほら、パスポートだ。二人は付き添いだな」


 グレンの相手をした試験官から、パスポートを五枚受け取る。

 名前が入っており、魔力認証が必要なようだ。これで付き添いの者が試験を受けた者のパスポートを使用できないのだろう。


 俺の相手をした試験官も気絶から立ち直り、試験官が三人並ぶ。


「それじゃ、ようこそ剣の国【ラカトニア】へ。歓迎するよ、剣士、それに付き添いの皆さん」

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