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メイジ オブ Mage  作者: 水無月ミナト
魔導書編 集める魔導師
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第二十六話 「紫の魔導書、蒐集終了」

 目を覚ますと、部屋が変わっていた。

 どうやらぶっ倒れた後に運ばれたようだ。

 周囲を見回すが、一人部屋らしい。俺以外に誰もいない。


「……重っ」


 体を起こそうとして、予想以上に重かった。

 これはもう何度も体験した。誰かが引っ付いているのだ。


 掛布団を引っぺがすと、案の定ユカリが引っ付いていた。

 幼女イズモやシャラや成長前ユカリなら、引っ付けたまま動ける。だが、こいつは無理だ。成長したユカリは、ちょっと無理。

 第一そんな態勢じゃないし。

 体に巻きついていたユカリの腕を外し、布団から頭を出させてかけ直す。


 ベッドの端に座って、魔力操作で魔臓の様子を見る。

 ……どうやら、さらに色が増えたようだ。

 青と紫。ちょうど龍人族と海人族の色だな。


「……はぁ」


 これで何色だ? 赤と黒と緑がすでにあったから、五色か。

 だが、そんな全部の魔導書を使う気なんかなかったのに。


 ……あ、そうか。

 魔導師がいなくても、俺が代替品になれるのか。

 あー、でも黄色か。黄色は持っていないな。

 どこかで手に入れるとしたら……ガルガドの肉か。絶対に嫌だ。


「さて」


 ベッドから立ち上がり、伸びをする。

 眠気覚ましには伸びをすることが効果的だったりする。二回もすればもう眠くない。

 ……なんで起きちゃったんだろう。まだ寝ていられる時間だろうに。


 あの後、どうなったのだろうか。

 俺が倒れて……でも龍帝とか無視して食事続けそう。一人分増えたぜヒャッハーって感じだと思う。

 構わないんだけども。


 運ばれたのは、海皇のおかげか、はたまた食事が終わってからか。

 まぁ、どうだっていい。倒れた俺が悪いんだし、不注意でもあった。

 海皇はちゃんと、龍の肉って言っていたわけだし。


 そうだ、今のうちに宮殿を物色しよう。

 広いので、一日使っても見回りきれないだろうけども。

 的を絞れば、この時間だけでも見つけられるはずだ。


 そう思い立ち、俺はユカリを起こさないようにそっと部屋を抜け出た。

 目指す先はもちろん蔵書室。龍化とかに関する本があれば上々だな。


 宮殿を徘徊する。

 一部屋ごとに魔眼を使って透視しながら、蔵書室を探す。


 かなり探した。見つからなかった。

 というか、決闘場クソ多い。

 なんでそんなに必要なのってくらい、決闘場しか見つからない。

 どういう宮殿だよ……。もう決闘場にしちゃえばいいのに。


 俺が諦めて部屋に戻ろうかと思ったときには、城の兵士たちが動き始めていた。

 すれ違う兵士たちに会釈とあいさつをされるので、適当にそれに応えつつ、部屋に戻った。


 部屋のドアノブに手を掛けたとき、中から「びえぇーん!」と泣き声が響いてきた。


「え、なに? どうした?」


 急いで扉を開けて中に入ると、見た目中学生くらいのユカリがベッドに座り込んで泣いていた。

 ユカリの顔が、部屋に入ってきた俺へと向く。

 濡れた紫色の瞳で凝視し、やがてまた涙を溢しだすと跳びかかってきた。


「パパァ! 離さないっていったのに!」

「い、いや確かに言ったけど、さすがに四六時中ずっと一緒にいられるわけないだろ」

「嫌だ! ずっと一緒にいる!」

「無理だって!」

「嫌!」

「無理!」

「嫌!」

「む――」

「嫌ァァァ!!」


 耳がッ! 鼓膜が破れるッ!

 咆哮のような否定の言葉が耳元で発され、耳の奥でキーンと音がする。


 もうどいつもこいつも面倒くせえッ!



☆☆☆



 龍帝に呼び出され、グレンたちと案内された部屋へと移動する。

 部屋には海皇もおり、ほっと安堵する。

 これで海皇がいなかったら、全力で逃げそうだった。


「よく来たな! ――おお? どうした、ネロ。発情期か?」

「どっからどう見たらそうなる?」


 大体人間に発情期なんてない。むしろ常時発情期だろ。獣人族にはありそうだけど。

 とにかく、俺は別に発情していない。

 龍帝がそういったのは、俺の左腕を離してくれないユカリのせいだ。十五歳児だ。


 朝から泣いて以来、ずっとこの調子だ。

 グレンたちに説明するのにもう疲れたというのに。


「そうか。まぁ、ほどほどにな」

「だから違えっての!」


 海皇も「わかってます」みたいに微笑むな! 帰るぞ!

 表情が歪むのがわかるが、抑える気はない。


 俺はその顔のまま、彼らの前まで移動する。


「で、何の用だって?」

「いえ、用があるのはあなたの方では?」


 そうだけど。

 確かに、そうなんですけども。


「我に頼み事らしいな。貴様は何を望む?」

「……地図、ありますか?」


 とりあえず、地図を要求する。


「どこの大陸のでしょうか?」

「あー、いや、世界地図」

「世界地図ですね」


 海皇が傍にいた兵士に指示を出し、地図を持ってこさせた。

 どこにあったんだろう……。地図って、普通蔵書室なんじゃないの?

 テーブルも用意させ、その上に地図を広げてもらう。


「貴様が欲しいのは、トロア村ではないのか?」

「違う」


 欲しいけど、それはちょっと裏ワザ過ぎる。

 それにあんないわくつきの土地は、まだもらっても困る。


「俺が欲しいのは、島だ」

「島? 群島か?」

「とすると、このあたりですか?」


 海皇が示したのは、暗黒大陸の周辺だ。

 こいつら、いや海皇か。俺を良く調べてやがるな。

 俺の事情はすべて筒抜けの可能性がある。

 だが、そこでもない。


「違う。俺が欲しいのは、ここだ」


 右手で、持っていたナイフを地図に突き立てる。

 そこは、地図の中心部。

 中央海域と呼ばれる、全大陸の中心にある海だ。

 地図を折り畳んで保管すれば、ちょうど織り目が重なる位置。


 そこに、島はない。


 当たり前だ。

 ガラハドが、秘匿しているから。


「ここが欲しい」

「……そこに島がある、というのですか?」

「そうだ」

「しかし、どの歴史書、地図、記録にもそこに島があるという記述はありません」

「だが、ある」


 だって、俺はそこで三年間、修行をしていたのだから。


「なるほど。ガラハドは、ここか」


 龍帝が、俺の意図に気付いてつぶやいた。


「このあたり一帯はいつも霧が出ている。無理に進もうとしても、いつの間にか追い返されていたりもする」

「なるほど。身を隠すには、絶好の場所ですね」


 ガラハドは、カラレア神国で魔導師に敗北した後、この島へと流れ着いた。

 そして、そこでずっと暮らしていたのだ。

 再起の日を待って。


 だが、当然三百年も生きれば、いくら不死性があったとしても、元は人族の体、全身にガタがきている。

 そのために魔王の後継者として、俺が選ばれたわけだが。

 まぁ、魔王なんて周りが言っているだけだし、ガラハドも国を潰すかどうかなんて全部俺に放り投げている。

 俺がどうしようが、ガラハドは文句を言うつもりは毛頭ないらしい。

 ただ一つの約束を守れば。


「ここには群島全部合わせれば約38万平方キロの面積の島がある」


 前世で言えば、日本くらいの広さだ。

 そのくらいの島があるのだ。


「ここをくれ」

「……なるほど。確かに、ここは誰も辿り着けず、さらには魔王も住んでいる。簡単には取れませんね」


 海皇が顎に手を当て、考え込んでいる。


「しかし、だからといってタダでとは行きませんよ」

「なぜだ!」

「お前が言うな!」


 龍帝が疑問に思ってどうする!

 やはりバカはバカだ……。


「良いですか? 彼は、あなたの威光を借りて、島をもらい、国を建てようと考えている」

「国か! ネロは王になるのか!」

「いえ、なりません」

「そうか!」


 バカは疑問も多いが納得も早い。でも勢いでどうにかしようとしているの、ちょっと感心しないよ。


「……あなたがどんな計画を立てているかはわかりませんが、我々に見返りがあるのでしょう?」

「おい、ネプチュリス。なんで貴様が偉そうなんだ」

「実際、偉いですから」


 うん、偉いね。

 しかし、見返りかぁ。

 一応、いくつか考えてはいたが。


「まずは、交易が盛んになる」

「……どうやって?」

「ユートレア共和国の場合、北にある港は冬に凍り、使えなくなる。使える港からでは、この島の影響のせいで大回りをしなくてはならない。

 ゼノス帝国の場合、やはり最短距離でシードラ大陸まで来ようとすれば、この島の影響で大回りする。デトロア王国も同じ。

 それが、なくなる」


 中央海域、その中心部にあるから厄介なのだが、利用できるとなればそれは利点に早変わりだ。

 中継貿易ができるようになるのだ。通過貿易でも構わない。


「物流が良くなる。さらに、俺にはカラレア神国のツテもある。大きい商会とも仲が良い。

 貿易は経済を回すぞ」

「……ふむ」

「それに便利屋として使ってくれても構わない。

 手強いダンジョン、強力な魔物、どんな奴だって相手にしよう。

 国で行う冒険者ギルドのようなものだ」

「……」

「後は、便利な道具も発明して行こう。

 魔法道具だけでなく、魔力を使わない道具も、研究していくつもりだ」


 ただ、これだけでは無理だろうな。

 今並べたメリットは、俺の国でなくとも可能なことだ。


「それだけですか?」


 案の定、海皇は乗ってこない。


 ……仕方ない。

 俺の、プランを披露しよう。


 俺は地図から顔を上げ、龍帝と海皇、二人を見る。


「国ができれば、世界から戦争をなくせる」



☆☆☆



「――その計画が、本当にうまく行くなら、戦争はなくせそうですね」


 俺のプランを聞き終え、海皇がそういってくれた。

 よし、この方法は間違ってはいないようだ。

 問題があるとすれば、長続きしない可能性、だ。

 恒久平和なんて理想でしかないとしても、できるだけ長続きした方がいいに決まっている。


 だが、俺のプランでは一世代で終わる可能性も十分あり得る。

 そこは、もうやってみるしかない。


「……恐ろしいな。貴様は、そんなことを考えていたのか」

「お前にも協力してもらうぞ。別に縛るつもりはないから」


 俺のプランにグレンは欠かせない。

 だが、別に国に縛りつける必要性は低い。

 どこにいても、即連絡が取れるならば、問題はない。


 ただ、問題があるとすれば龍帝か。

 奴はバトルジャンキーだ。戦争まで好きだったら、もう末期だ。

 が、今までドラゴニア帝国は戦争を仕掛けていない。そこに、勝算があるはずだ。


「……いいのではないか?」


 龍帝の、妙に真剣な言葉に、安堵する。

 これで反対されれば、まだ何か考えなければならないのだから。


「我は、決闘は好きだが戦争は好かん。

 弱いくせに戦場に駆り出され、ゴミのような死の数に、いつも呆れる。

 我ら龍人族は、誰でも我らを打倒しうるからこそ、決闘で王まで決めるのだ」

「そうですね。

 戦争が無くなるならば、賛成はしますが……あなたの詭弁である可能性も考慮しなくてはなりません」


 海皇は慎重な意見だ。が、それくらいで構わない。

 むしろ龍帝があっさり過ぎるのだ。戦争反対派だったとしても。


「だろうな。別に今すぐ国の承認が欲しいわけじゃない。

 俺にはまだやらなきゃならないことが残っているし、その過程で死ぬ可能性も捨てきれない。

 だから、頭に入れておいてくれるだけでも十分だ」


 まだ肝心の魔導書集め、その後の魔晶の解除までしなければならない。そこからさらに厄介事がある可能性だってある。

 まだ、国を作れるかもわからない。

 そんな状態で、国を承認されてもちょっと困る。


「それに承認がなくたって宣言だけは可能だ。

 国づくりに専念できるようになったら、宣言する。その後頃合いを見てか、もう一度話し合いをして承認してくれればいい」

「……わかりました」


 海皇は俺の提案に頷いてくれた。


「では、その日を待っています。

 ……そして、サーカラについて、ですが」


 話題が変わる。

 サーカラは、歴史に従うならユカリが襲名する。

 だが、それは困る。

 先ほどのプランでも、海皇はわかってくれていると思うが。


「別の者を据えるにも、実力が必要です。

 誰か、代わりになれるような人はいますか?」

「なら、エレオノーラに」

「はぁ!?」


 俺の推薦に、一緒にいるエレオノーラが声を上げた。


「ちょっと待てネロ! オレにそんなことできるわけねえ!」

「できるだろ。別に一人でする必要もないんだし」

「無理無理! 大体、オレより強い奴、普通にいるだろ!」

「え、でも俺エレオノーラさん以外知らないし」


 それでも拒否するエレオノーラ。

 まぁ、ちょっと無茶ぶりが過ぎただろうか……。


「大丈夫だって。エレオノーラさん、人望ありますし、実力も兵士の中では上の方なんだろ?」

「だからって八大竜王なんて……!」

「エレオノーラさんは代理だ。その座が欲しいというなら、ユカリのところまで戦わせに来させればいい」

「んな無茶な……」

「龍帝、それでもいいだろ?」

「構わん」


 さすがだ。即答した。絶対に良く考えていない。


「ほら」

「ぬぐっ……! くそ! わかったよ、引き受けるよ」


 ようやく頷いてくれた。

 少し無理を言い過ぎたかな……。


「ありがとうございます」

「いいさ。サナには楽しませてもらったから、そのお返しだ」


 楽しませて、って……冒険者を、だろうか?

 あー、親の七光り使っているようで、ちょっと気が引けてきた……。


「やっぱり、他の人探しそうか?」

「やるとやったからにはやるさ。何とかなるだろ」

「では、私の方から一人、手伝いを出しますね」


 海皇がそう申し出てくれた。

 これで安心だな。

 エレオノーラに内政の知識がなくとも、海皇お墨付きの手伝いなら、上手くやってくれそうだ。


「ネロは次にどこに行くのだ?」

「ラカトニアです。妹がそこにいるはずなんで」

「そうか。ラカトニアと言えば……ここから北西か」

「ですね」


 ラカトニアはシードラ大陸の群島からなる国で、アクトリウム皇国寄りだ。中央海域側にある。

 そこにいるはずだ。


 ……連絡、取ればよかった。

 ガルガドに教えられたの、すでに三年前だし。リリーを送り出す前に、連絡取ればよかった……!

 だが、さすがに三年で剣技すべてを習得はできないはずだ。

 それに剣士としての修業なら、ラカトニア以上に良い場所はないはず。

 それに連絡手段ないし。


「特急竜車を手配してやろう。それに乗れば、一日でつくだろう」


 龍帝が嬉しい申し出をしてくれた。

 けど、吐かないか心配だ……。特急というくらいなのだから、すごいスピードなんだろうなぁ……。


「これを持っていけ。特急竜車に乗れる」

「わかりました」


 龍帝が差し出した紙を受け取る。


「ラカトニアは剣の国ですが、大丈夫ですか? 入国審査もありますよ」

「問題ありません。剣も使えますよ」


 ラカトニアの入国審査は、審査官との試合だ。

 剣を使えない者、使えるが半人前などは、そこで追い返される。


 一人さえ勝てば、連れ添いも入れてくれる。その場合、連れ添いは国内で少し割高な金をとられるが、仕方ない。

 俺かグレンがやって、どちらかが勝てばいいだけだ。

 グレンが負けるとも思わないし。

 まぁ、魔法師だとばれれば、ちょっと危険だったりもするが……。


「わかりました。余計な心配のようですね」

「龍帝のお墨付きですからね」

「ええ、そうでした」


 俺含め全員強い。昨日の食事の時に言っていた。

 だから心配などないさ。


 俺の用件も済み、龍帝からは願ってもない申し出がもらえた。

 これからすぐにラカトニアに向かうとしよう。

 話も終わったので、俺たちは扉の方へ向かおうとし、しかしもう一度向き直る。


「龍帝、俺のあの闘気、一体何だったんですか?」

「ん? 何のことだ?」


 俺の問いに、首を傾げる龍帝。


 くっそ、このトリ頭!!

 まだ昨日のことじゃないか! なんでもう忘れているんだよ!


「ほら、昨日の……」

「おお! 昨日のネロの闘気か!」


 しかし、海皇に補足を受け、すぐに思い出してくれた。

 もうホントこいつが国主だとは思えないんだけど……。


「あれはな、ガラハドが使っていた覚えがある」

「……は? 龍帝、ガラハドと会ったことがあるんですか?」

「まぁな。奴は覚えてはおらんかもしれんが……ドラゴニア帝国の一兵として、奴に挑んだことがある」


 ああ、確かにそれなら、ガラハドも覚えてはいそうにないな。

 それに龍化していたら、見分けつけるのも一苦労だし。

 ガラハドも、今ほど自分の能力について熟知しているわけでもなかったらしいし。


「奴と同じ闘気だが……それは魔人族の使う黒闘気とは、別物だ」

「そうなんですか?」

「ああ。その闘気の色は、黒よりもさらに濃い……そうだな、例えるならば、目を閉じたときの暗闇の色だ」

「はぁ……」


 ちょっと意味が解らないが。

 今ある色の名称では表せない、ということだろうか。


「我に使い方はわからぬが、知っておかなければ危険だろう、ということは予想できる」

「……」

「まぁ、ガラハドが放置しているということは、貴様に現れているのはその片鱗でしかないということかもしれぬが」


 確かに、ガラハドからはこんな闘気の説明は受けなかった。

 魔導や魔眼、魔力操作や戦闘についてはいろいろと叩き込まれたが、闘気についてはあまり教わっていない。

 身体強化と闘気は似ているので、すでに使いこなしている身体強化を使え、しか言われていない。


 身体強化は魔法師が、闘気は剣士が使うものだ。普通は。

 身体強化は自分の意志で、部分的に強化できるのに対し、闘気は全身を覆う鎧となる。それを捻じ曲げたり一か所に集めたりすることで、局所的な効果を発揮させたりするのだ。


「まだ使っているという自覚がないのなら、問題はないはずだ。自覚ができるようになれば、ガラハドに教えてもらうのが良いだろう」

「……わかりました。ありがとうございます」

「うむ。今度は我と決闘をするのだ!」

「え、あ、気が向けば」

「待っておるぞ!」


 そのまま待ちぼうけてくたばってくれないかな。

 なんてことを思いつつ。

 龍帝と海皇と別れ、宮殿を出た。


 龍帝の直轄地にある竜車の乗合場まで向かう。

 そこで特急竜車に乗り、エレオノーラやその部下たちに見送られながら。


 ドラゴニア帝国を後にし、剣の国ラカトニアへと向かった。

 ようやく、ネリと再会できそうだ。

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