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勇者はあくまで脇役です。  作者: 沙φ亜竜
隣国トナリーノ
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第9話 勇者たち、実験する

「んじゃ、実験開始だ!」

「お……お手柔らかに頼むぞよ?」


 意気揚々といった感じの勇者アクマに対し、ライムちゃんは明らかに怯えている。


「まずは、これだ!」

「はいっ! 準備できてます、勇者様!」


 アクマはサタンからヤカンを受け取り、熱湯をライムちゃんにかける。


「あちゃちゃちゃちゃ! なにするのじゃ! 殺す気か!?」


 熱湯をかけられたライムちゃんは憤慨。

 ベトベトしながら文句を飛ばす。


「むう……ダメだったか。次は逆で勝負だな! サタン、準備はいいか!?」

「はいです、勇者様!」

「なにをする気じゃ!? 離せ! 離さぬか!」


 サタンとアクマがふたりがかりでライムちゃんを押さえつける。

 そして、四角い物体の中へと放り込む。


「こりゃ、出せ! 出すのじゃ! ワラワを冷凍庫に入れるでない!」


 一応解説しておこう。

 冷凍庫というのは、氷の精霊の力を使って、いろいろなものを凍らせる装置のこと。

 力が弱めの精霊を使って食べ物を長く保存できる冷蔵庫という装置の姉妹品だ。


「つべたいではないか!」(ガチガチガチ)


 震えて歯を鳴らし、文句を飛ばしながら出てきたライムちゃんは、やっぱりベトベトしていた。

 どうやらスライムにも歯はあるらしい。


「次だ!」


 アクマは今度は大量のタオルを用意。ライムちゃんの全身に巻きつける。

 水分をすべて吸収させるつもりのようだ。


「やめんか! ワラワたちスライムの粘液は、際限なく出てくるのじゃ! 吸い取り尽くすことはできん!」


 全身タオルまみれでミイラのように見える状態であっても、ライムちゃんは言うまでもなくベトベトしていた。


 その後、アクマは様々な方法を試してみた。

 塩をかけたり、砂糖をかけたり、醤油をかけたり、胡椒をかけたり……。


「って、ワラワを食う気か!?」

「試してみる価値はある!」

「ないわっ!」

「ゼリーみたいで美味しそうではありますね!」

「おなかを壊しそうだけど……」


 ライムちゃんのベトベトは、どうやっても消えなかった。


「う~む。だったら、こうしよう!」


 アクマが最後の手段とばかりに示した方法とは。


「サタンが爆発魔法を使って爆発させる!」

「お主、やはりワラワを殺す気じゃな!?」

「うむ! 面倒になってきた。だから、殺す! サタン、やってしまえ!」

「あいあいさ~です!」

「うひぃ~~~~! やめてたもれ~~~~!」


 ………………。


 結論。

 スライムの粘液のベトベトさは、どうにもならないから諦めるしかない。


 ――――というわけで、とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!


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