第50話 サタン、大いなる決断をする
「なんというか……ワラワたちは、来た意味がなかったかもしれんの~」
「そうですね、ワタクシたちも……」
「でも、いい場面を見ることができました」
「確かに。我が国と同様、この魔界もまた、変わっていく転機を向かえているのかもしれないね」
ライムちゃん、シトヤカ、ヌメリヒョン、サワヤカが苦笑まじりの言葉をこぼす。
いまだ項垂れたままの女王マックイーンに、サタンが静かに歩み寄る。
「改めて言います。アタシは、勇者様が好きです。愛してます」
娘(?)の声に、マックイーンが微かに頭を上げる。
「最初は騙して連れてくる目的でしたが、一緒に旅をして自分の本当の気持ちに気づいたんです」
迷いのない淡々とした口調で、サタンは思いの丈を綴る。
最後に力強く大きな声で、こう宣言した。
「お母様、アタシはアクマと結婚します!」
「サタン……。まだ小さな子供だと思っていましたが、いつの間にかこんなにも大きくなっていたんですね。わかりました、認めましょう」
こうして、母親の了承は得た。
父親が他界しているサタンにとって、これで完全に親の同意を得たことになる。
次は、相手の意思確認だ。
「勇者様、どうでしょうか? アタシでは不満ですか?」
対するアクマは……。
「そんなことはないぞ! オレもお前以外には考えられない! 結婚しよう!」
一瞬の躊躇もなく、当然のように受け入れた。
「はい、勇者様!」
涙を浮かべ、笑顔を輝かせるサタン。
「おめでとうございます!」「よかったよかった!」「うん、すごくおめでたい日になったね」「うむ! 最高の日なのじゃ!」
温かな祝辞と惜しみない拍手が、魔界の片隅にこだまする。
その場にいた全員が、とてもいい雰囲気に包まれていた。
……って、これでいいのか!?
アクマもサタンも男だというのに!
祝福ムード一色。
と思われる場面だったのだが。
その中でただ1人、違った色を見せている人物がいた。
「う~ん……」
それはデビルだった。
「なんか、とんでもないことになっちゃったな」
深刻そうな声音のつぶやきが漏れる。
そして真面目な顔で、なにやら考え込んでいた。
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




