第49話 魔界の女王、その他大勢と戦う
アクマたちの軍勢を、改めて整理しておく。
アクマ、デビル、サタンの3人の他に、ライムちゃん、ヌメリヒョン、シトヤカ、サワヤカという主要メンバー。
それに加えて、たくさんのスライム、ナメクジ、人間たち。
総勢、数千は下らない。
対する女王はひとりだけ。
数万とも思われる星の大群は、ライムちゃんが1匹で全部食らい尽くしてしまった。
これなら勝てる!
デビルはそう思ったのだが。
突然、地面が大きく揺れる。
地中から巨大な緑色の物体が次々と湧き出てきたのだ。
それはマモリーモだった。その数、数百。
言うまでもなく、マックイーン側の軍勢となる。
数の上で劣ってはいても、マモリーモは凄まじい巨体。
一度に数十人の人間、あるいは数十匹のスライムやナメクジを丸呑みにできるだろう。
「くっ! マモリーモって、こんなにいやがったのか!」
「マモリーモは魔界の守護神のようなものです。1匹見かけたら30匹いて当たり前なのです」
アクマが驚きの声を上げると、マックイーンは余裕の表情で言ってのける。
「30匹どころか、数百匹いるけど……。守護者なのにゴキブリみたいな言い方だし……。実際に巨大ゴキブリが数百匹出てくるよりは、精神衛生上、ずっとマシだと思うけど」
「デビル、余計なこと言うなです! 想像しちゃったじゃないですか!」
「デビルさん、最悪です……」
「うん、そうだね。デビルくんは最悪だね」
「サタンだけならともかく、シトヤカさんやサワヤカさんまで……」
デビルの扱いについては、この際置いておくとして。
アクマはさらにマックイーンに盾突く。
「こんな巨大な物体を何百匹も出現させるなんて、ルール違反だ!」
「あなたは人のことをとやかく言えないでしょう? そちらのスライムやらナメクジやらの数は、マモリーモよりずっと多いですよ?」
「それはそれ、これはこれだ!」
「意味がわかりませんわ。そもそも、戦争にルールなどありません。しいて言うなれば、このワタシこそがルールです!」
それ以前に、戦争ではなくおしおきだったはずなのだが。
「そんなことを言うのは、悪役だと相場が決まってるんだ! アクマぱ~んち!」
アクマ、渾身のグーパンチ。
見事にマックイーンの右頬を捉える。
「な……殴りましたね!? 娘にも殴られたことはありませんでしたのに!」
「ああ、殴ったよ!」
アクマは完全に開き直る。
そして、
「あんたは勇者を憎んでいるかもしれない! だが、オレはその勇者とは違う! 勇者全般を恨んで根絶やしにしようなど、自己満足の無意味な行動でしかない! 即刻、悔い改めるべきだ!」
おしおきの件やらマモリーモを呼び出した件やらはすっ飛ばし、突如として根本的な部分へと切り込んだ主張をぶつける。
「あ……アクマが、なんかまともなことを言ってる!」
驚くデビルだったのだが。
「いろいろな国を旅してきて、成長したのかな」
そうつぶやき、微笑ましい表情で見つめる。
デビルを含めた全員――スライムにナメクジに人間にマモリーモ、合わせて1万近い数の視線が注がれる中。
女王マックイーンは、その場でがっくりと項垂れると、
「そうですね……。ワタシが間違っていました……」
素直な謝罪の声を響かせた。
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




