第48話 仲間たち、唐突に現れる
無数の星たちの一斉攻撃。
攻撃手段としては、単なる体当たりでしかない。
とはいえ、当たれば相当痛い。
文字どおり星型の相手。先端部分は鋭く尖っている。
それが数千、数万とぶつかってくるのだ。
充分に致命傷となりえる。
四方八方から迫りくる星たちの群れ。
アクマたち3人に、防げるはずがない。
成すすべもなく、逃げ惑うばかり。
そして最終的に、1つ残らず全部食らってしまった。
……ただし、アクマたち3人が、ではない。
「ふむ。なかなか美味ではないか。もぐもぐ」
唐突に現れたのは、ゼリー状でネバネバした体を持った生物。
それは、スライムの女王にして魔王でもある、ライムちゃんだった。
ライムちゃんは大きな口を開け、すべての星を、文字どおり食らっていた。
もぐもぐ、ぐちゃぐちゃ、ばりばりと。
「んん……ごっくん。魔界で大変な事態が起こったと聞いたのでな、ヌメリヒョンとともに、こうしてはせ参じた次第じゃ!」
星たちを飲み込み終えたライムちゃんが叫ぶ。
その隣には、ナメクジ国王ヌメリヒョンが控え目に立っていた。
雰囲気的に、ライムちゃんがヌメリヒョンを従えている、といった印象。
夫婦関係がなんとなく垣間見える構図、とも言えそうだ。
自らをオレサマと称し、ライムちゃんと壮絶な戦いを演じていたヌメリヒョンの面影は、これっぽっちも残っていない。
スライムの国とナメクジの国が合併してから、まだそれほど時間は経っていないのだが。
この短い期間で、いったいなにがあったというのやら。
と、そんなことはこの際、どうでもいい。
デビルはそれよりも、魔界で大変な事態が起こったと聞いた、という部分に食いつく。
「……って、それ、どこでどうやって聞いたの?」
「ん? ああ、サタンからメールがあってな」
「メール……ってなに!?」
当然の疑問。
科学の国ジッパングになら、ケータイらしきものがあったのだから、メールだって存在していてもおかしくはないが。
この世界の一般的な国に、そんな文明の利器などあるはずもない。
……魔界の国やらスライムとナメクジの国やらが、一般的な国の範疇に入るのかは知らないが。
「念波を飛ばして情報を伝達する便利魔法です!」
メールを送ったという張本人であるサタンが解説する。
「それを使って知らせておいたんです! お母様に気づかれないようにこそこそメールするのは大変でした!」
「サタン、さすがだな!」
「ふふ~ん、当然ですよ、勇者様! アタシは有能な魔女っ娘なんですから!」
「魔界出身の女っぽく見える男の娘、だけどね」
「デビル、うっさいです!」
ともかく、サタンのメールによって、増援を得ることができた。
しかも、ライムちゃんとヌメリントンだけではなかった。
2人が治める国の住民であるスライムやナメクジたちも、続々と押し寄せてくる。
さらには……。
「ワタクシたちもおりますわ!」
「というわけで、及ばずながら加勢させてもらうよ」
シトヤカとサワヤカの2人が颯爽と登場。
その背後にもまた、多数の人々がつき従っていた。
「ふふっ、ワタクシたちの国では大きな改革が実現しましたのよ」
「もう、スパイの国ではなく、民主主義の国になったんだよ。ワタシが代表ということになってはいるけどね」
「基本的にはすべての決定に民意を反映させることになりましたの」
「サタンさんからのメールで、ワタシとシトヤカの2人が魔界へと赴くと国民に伝えたら、全員が同行を申し出てくれたってわけさ」
だからこそ、こんなにも大勢の人間が集ってきていたのだ。
「貧しい国なのは変わっておりませんので、全国民といっても他の国より随分と少ないですが……」
少々恥ずかしげに語るシトヤカ。
ちらりとデビルに視線を向け、わずかながら笑みをこぼす。
過去に振った相手ではあるが、元気な姿を見ることができて安心しているのだろう。
はてさて、一気に人数が増えアクマたち。
形勢逆転となるか?
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




