第46話 サタン、寝返る
爆発が起こり、気づけば処刑場とは別の場所へと移動していたアクマとデビル。
そこにはもう1人の姿があった。
それはもちろん、サタンだった。
「やっぱり、アタシは勇者様が好きです! 処刑なんて、見てられませんでした!」
サタンが叫ぶ。そして、
「おおっ、サタン!」
アクマとサタンは、ぎゅうっとお互いの温もりを確かめるように抱き合う。
微笑ましい光景だった。……男同士だが。
「ボクからもお礼を言うよ。ありがとう、サタン」
サタンは仲間だった。
その喜びを笑顔で示し、デビルも感謝の言葉を述べる。
「デビルは勇者様のついでに助けただけです! できれば、マモリーモにパクッと食われるところが見たかったです!」
「なぜボクはそんな扱い……」
すでに慣れてしまってはいるが、デビルは不満をこぼす。
と、それはさておき。
爆発魔法で空間に穴を開け、2人を助けて処刑場から逃げ出してきたサタンだったわけだが。
ここはまだ魔界の中。女王マックイーンの監視下にある。
おそらくは、すぐに見つかってしまうことだろう。
「あううううっ! アタシ、思わず行動を起こしてしまいましたけど、どうしましょう! お母様にきつ~いおしおきをされてしまうです!」
サタンは心底怯えている。
「どんなことをされるんだ?」
「まず、舌を抜かれます!」
「いきなり痛い!」
「それから尻子玉を抜かれます!」
「カッパじゃないのに!?」
「最後に魂を抜かれます!」
「抜かれた魂って、どうなるの?」
「マモリーモの餌にされます!」
「うわ……ひどい……」
「っていうか、おしおきどころか、それこそ処刑じゃないか!」
ブルブル震えているサタンを、アクマがそっと抱きしめる。
そこで、女性の声が響き渡った。無論、マックイーンの声。
サタンの体だけでなく地面をも揺るがすほど、ありありと怒りの念が込められた重苦しい声だった。
「サタン、なんのつもりですか? 事と次第によっては許しませんよ?」
声とともに、空気の中から湧き出てくるかのように、本人も姿を表す。
魔界の女王マックイーンとの壮絶な戦いが、今まさに始まろうとしていた。
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




