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勇者はあくまで脇役です。  作者: 沙φ亜竜
魔界の国アクマージュ
43/53

第43話 サタン、本当の目的を明かす

 魔界にて。

 プリンセスの帰還を祝う宴が催された。

 それは同時に、アクマとデビルを歓迎する宴でもあるのだという。


「ふふっ。なにせ、プリンセスが連れてきた最愛の人と、オマケの下僕ですから」


 女王マックイーンまでデビルの扱いがひどいことになっていたが。

 それはともかく、宴の席は盛り上がっていく。

 飲めや歌えの大騒ぎ。

 魔界の踊り子たちが現れ、歓迎の舞いまで披露してくれた。


「ささ、アクマさん、どうぞ」

「あっ、こりゃどうも!」


 マックイーンのお酌を受け、上機嫌で飲み進めるアクマ。

 頬は上気し、ほろ酔い気分といった様相。

 ちなみにこの世界には、お酒は20歳になってから、といった法律などない。


「魔界の女王にお酌をされるなんてね」


 そう言いながら、デビルのほうもかなり酔いが回っている状態だった。

 しかし、そんな時間も長くは続かない。


「ん? なんだか……体がおかしいぞ……?」

「う……うん、ボクも……。手足が痺れて、動かない……?」

「ふふふ、ようやく効いてきたようですね」


 マックイーンが不敵に笑う。


「え? どういうことですか……?」

「いいでしょう。冥土の土産に教えて差し上げます。ワタシは勇者を心の奥底から憎んでいるのです!」


 痺れて動けなくなっているアクマとデビルに、マックイーンは落ち着いた口調で語り始めた。


 魔界の女王マックイーンは、実は勇者撲滅を目論んでいた。

 理由は、勇者によって愛する旦那が殺されてしまったからだった。

 サタンが生まれてすぐの頃の話だ。


 勇者は突如、この魔界に現れ、女王の住む城へと乗り込んできた。

 たまたま女王は不在で、旦那だけが城にいた。

 女王は赤ちゃんだったサタンを乳母車に乗せて、散歩に出かけていたのだ。


「魔界の女王が、乳母車を押して散歩……」


 デビルが痺れながらもツッコミを入れる。


 ともかく、そのとき。

 勇者は城にいた旦那を、魔界の王――つまり魔王だと誤解した。


 魔王! それすなわち、悪!

 そんなことを叫び、勇者は無抵抗な旦那を一撃のもとに斬り捨てた。


 この国では、女王の旦那には、べつになんの権限もない。

 象徴的な存在でしかなかったというのに。


 隠れて様子を見ていた従者の報告により、女王はその悲劇を知った。

 旦那はすでに帰らぬ人……というか、帰らぬ魔族となっていた。


 女王は勇者を激しく恨んだ。

 人間界には、勇者が溢れている。

 撲滅せねばなるまい。


 そう考えたマックイーンは、サタンを人間界に送り込んだ。

 勇者を魔界へと連れてくるために。

 ついでに、プリンセスとしての人生経験も兼ねて。


「サ……サタン……! お前、オレたちを騙していたのか……!?」


 アクマの問いに、サタンは苦々しい表情を浮かべる。

 だがすぐに、開き直ったような大声でこう言い放った。


「そうです! アタシは最初からその目的で近づいたんです! 騙されたそっちが悪いんです!」


 ――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!


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