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勇者はあくまで脇役です。  作者: 沙φ亜竜
魔界の国アクマージュ
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第42話 魔界の女王、娘の帰還を喜ぶ

「勇者様! あと、ついでにデビルも! お城にご招待してあげます! 感謝しやがれです!」


 というわけで、アクマたちは城へと案内された。

 城門を顔パスで通り抜けていく。

 サタンが魔界のプリンセスだというのは、どうやら本当のことらしい。


「お母様、ただいま戻りました!」


 謁見の間に入ると、玉座にどっしりと構える女性に向かって、サタンが大声を張り上げた。


「サタン、お帰りなさい。ふふっ、少し見ないあいだに、随分と立派になったわね」


 プリンセスの帰還を笑顔で迎えるこの人が、魔界の女王マックイーンだ。


「一緒にいるのが、旅をともにしていた方々ですのね?」

「はい! とてもカッコいい、アタシのナイト様であるアクマと、とても頼りない、腐れ外道でゴミ同然のデビルです!」

「あらあら、サタンは相変わらずね。……おふたりとも、ワタシの娘と仲よくしてくださって、ありがとうございます」(にこっ)


 いつもながらデビルに対して無礼な言い方の紹介をサタンから受け、マックイーンは2人に神々しいまでの笑顔を送る。


「娘って……サタンは男ですよね……?」

「ええ。ですが、女として――プリンセスとして育てておりますの」


 その理由についても、マックイーンは語って聞かせた。


 代々、魔界は女王をトップに据えて繁栄してきた。

 ここで重要になるのは、女王でなければならないことだ。

 しかも、女王が子を成していいのは1人だけと決められている。


 そのため、もし生まれたのが男だったとしても、女として育てられて女として暮らしていく。

 そして、大きくなったら女王となる。

 それが魔界の王族としての務めなのだという。


「でも……もしその1人が若くして死んでしまったら、どうなるんですか?」

「その場合は、臨機応変に」


 随分とテキトーな決まり事だった。


 デビルはそこで、ふと気づく。

 アクマがやけにおとなしい、ということに。


「ねぇ、どうしたの?」


 隣にいるアクマに声をかけてみるデビル。

 すると、アクマはマックイーンに向かって、ようやく口を開いた。


「お……お母様! オレ、サタンと仲よくさせてもらってる、アクマといいます!」


 デビルは驚く。


「アクマが丁寧な言葉遣いをするなんて! っていうか、なに緊張してるんだよ!?」


 まるで、娘さんを僕にください! と言わんばかりの雰囲気だ。

 と、そこで思い至る。


「……って、もしかしてアクマ、ほんとにそういう認識なの!? サタンは男なのに!」


 アクマは真面目な顔でマックイーンに視線を向け続ける。


「ふふっ、あなたがアクマさんなのね。報告は受けていますよ。とてもカッコよく、理想的な方だと」

「ありがとうございます! あとオレ、勇者をやってます!」

「自称だけどね」


 カッコよさをさらに強くアピールしようとでも思ったのか、自己紹介を続けるアクマに、デビルがツッコミを入れる。


「ふふっ、そうね。勇者……それも聞いてますわ」


 マックイーンは穏やかな声で答えた。

 だが。

 一瞬、笑顔が曇ったように見えたのは、はたして気のせいだっただろうか?


「さて……プリンセスの帰還を祝う宴の準備も、もうそろそろ整いそうです。是非、楽しんでいってくださいね」(にこっ)


 といったところで、


 ――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!


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