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勇者はあくまで脇役です。  作者: 沙φ亜竜
ナメクジの国ヌメリントン
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第40話 スライム×ナメクジ、大団円

 戦いは何時間も続いていた。


「日が暮れたらどうなるのかな?」

「一時休戦して宴会ってのが、定番じゃないか?」

「そうですね、勇者様の言うとおりです!」

「そんなわけないっての!」


 アクマたちの雑談も続いていた。


 しばらくすると、状況が少しずつ変化していく。

 周囲に粘液やらなにやらが溜まって、あたかも沼地のようになってしまったのだ。


「むう、動きにくいのじゃ!」

「こちらも動作の妨げになる!」

「これはスライムのヌメリ気が非常に優れているからじゃと言えるの!」

「いや、ナメクジのほうが優秀なヌメリ気を持っている!」


 戦いは、ヌメリ気の優劣を競う言い争いへと移行。


「どうでもいいが、すっごく臭いぞ?」

「ほんとです! ばっちぃです! 鼻が曲がります! ボキッて!」

「それだと折れてると思うけど……。でも確かに、不快なニオイだよね」


 アクマたちのツッコミを受け、


「このニオイは、ナメクジどものヌメリ気のせいじゃ!」

「なにを言う! どう考えても、スライムどものヌメリ気のニオイじゃないか!」


 今度は相手に押しつける形で言い争う。


 さらに、言い争いだけには留まらず。

 ヌメリ気の沼に足(?)を取られつつも、ライムちゃんとヌメリヒョンはお互いに近づいていった。

 そして始まる、取っ組み合いのケンカ。


 ヌメリヒョンはいつの間にか、手にしていたはずの剣を落としてしまっていたらしい。

 対するライムちゃんは、もとより武器など持っていない。


 殴り合い、蹴り合い、ぶつかり合い。

 最終的には噛みつき合いにまで発展していく。


「ん……これは……!」「むむ……この感じ……!」


 そこでライムちゃんとヌメリヒョンは、なぜか驚いたような顔をする。


「不快じゃと思うておったが……ナメクジの粘液、口にしてみればなかなかに美味ではないか!

「そっちの粘液こそ、ゼリーのような甘味もあって、まるで水あめのようだ!」


 お互いの粘液を味わい、そんな感想を漏らす。


「うわっ、食い合ってるよ」

「気色悪いです!」

「さっき食べた団子が逆流してきそうだね……」

「デビル、余計なこと言うなです! うぷっ……!」


 げんなりするアクマたち3人。


 つい数十秒前まで争っていたはずのスライム軍団とナメクジ軍団は動きをピタリと止め、お互いの国王のやり取りを固唾を呑んで見守っている。

 その目の前で、ライムちゃんとヌメリヒョンは突然、ひしっと抱き合った。


「これは運命的な出会いとしか言いようがないな!」

「うむ、そうじゃの! ワラワもそう思うぞよ!」


 そんなわけで……。


「ワラワたちは、結婚することにしたぞよ!」

「我がヌメリントンは、スライムの国と合併することを、ここに宣言する!」


 スライムとナメクジは和解。

 急転直下の大団円が訪れたのであった。


 ――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!


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