第39話 ナメクジ軍団、負けじと応戦する
スライム軍団とナメクジ軍団の戦い。
双方、数は数千、といったところか。
これだけの大群が合戦を繰り広げれば、被害は甚大になるはずだ。
しかし、実際にはそうなっていない。
ナメクジ軍は剣を構えてスライムを斬り捨てる構えなのだが。
敵はヌメヌメしたゼリー状のスライム。斬ったところで、さしたる効果は出ない。
仮に真っ二つになったとしても、すぐにくっついて再生してしまう。
一方、スライム軍は武器など持っていないが、酸性の粘液で相手を溶かそうとする。
とはいえ、攻撃を受けてもナメクジは一向に消える気配がなかった。
どうやらナメクジの体を覆っている粘液が酸を中和してしまい、溶かすことができないようだ。
そんなわけで、どちらの攻撃も有効打とはならず、ただただ周囲のヌメリ気だけが増えていく。
「うわぁ~、すごくベチョベチョです。不快指数120%です!」
「うむ、ベチョベチョだな。だが、そんなサタンも可愛いぞ!」
「あら、勇者様ったら、正直者です! ゴミムシ以下のデビルとは、やっぱり格が違います!」
なにやらアクマとサタンはラブラブしていたが。
またもや引き合いに出され、デビルはため息をつく。
ただ、文句を言う気力までは出ない。
辺りはそれほど、ベタベタのヌメヌメのビチョビチョになっていた。
「どうでもいいけど、この戦いって、どうなったら終わるんだろう……?」
デビルのつぶやきに、答えられる者はいない。
「そもそも、ボクたちがいる意味って、全然ないよね」
「わっはっは! ま、ライムちゃんに加勢してやってもいいんだがな! 近づくとヌメって気持ち悪いし、あまり気乗りはしないよな!」
「ほんとにそうです! まったくもって不快です! アタシの自慢の髪の毛までビチョビチョです! 三角帽子もシナシナです!」
とかなんとか言いながら、アクマたち3人はテーブルに着いて、お茶とお団子をいただきつつ合戦の様子を眺めている。
スライムにはナメクジしか、ナメクジにはスライムしか見えていない状態のため、アクマたちが巻き込まれてしまうようなことはなかったのだ。
「そうだな……ここはいっちょ、賭けるか!」
「なら、アタシはライムちゃんに1万ゴールドンです!」
「オレもライムちゃんに賭けるぞ! どぉ~んと、3万ゴールドンだ!」
「もちろんボクだってライムちゃんだよ。5千ゴールドンにしておくけど」
賭けになっていない。
「う~ん、当たったらヌメリヒョンを脅して賞金を出させるか!」
「大賛成です!」
「……なんか、ボクたちが来たせいで踏んだり蹴ったりになりそうだね、あの国王……」
もちろん、まだ勝負はついていないのだが。
アクマたちは、ライムちゃんが負けることなどありえない、と考えているのだろう。
「ちなみに、もし賭けに負けたらどうするの?」
「賭け金抱えてトンズラだ!」
「当たり前田のクラリネットです!」
「ひどい……」
観戦するのにも飽きてきたのか、アクマたち3人は完全に雑談タイムへと突入していた。
はたして、スライムVSナメクジの戦いに終止符は打たれるのか?
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




