第37話 ナメクジ国王、怒りを爆発させる
ライムちゃんがナメクジの悪口を叫んでいたことで、アクマたちは完全に包囲されてしまった。
一触即発の様相を呈する、そんなとき。
周囲の人垣……いや、ナメクジ垣(?)の中から、やけに豪華な服を着ているナメクジが歩み出てきた。
ちなみに、人間の文化を模倣して町を作ったナメクジたちは皆、服も着ているしアクセサリーをつけたりもしている。
「そこの者たち。先ほどの物言いは、少々ひどいのではないかな?」
そう言ったそのナメクジは、華麗な衣装を身にまとっているだけではなく、頭には王冠もかぶっている。
とすると、この人……いや、このナメクジは……。
「いかにも。オレサマはこの国の王、ヌメリヒョンである」
敬礼らしき動作をしながら、落ち着いた声で名乗ったナメクジの王、ヌメリヒョン。
対するアクマたちは、こんな反応を示す。
「ぬめりひょん! わっはっは! おもしれ~名前!」
「まったくです! 妖怪みたいです! ナメクジ妖怪ぬめりひょんです!」
「ぷぷぷっ。ワラワでも思わず吹き出してしまったぞよ!」
「そ……そんなに笑っちゃ、悪いってば。……ぷぷっ!」
デビルでさえ、笑いを堪えきれない様子。
「笑うでない! オレサマを愚弄するとは、不届き千万!」
無論、ヌメリヒョンのはらわたは、絶賛沸騰中。
ナメクジもスライム同様、水分が蒸発してしまうと大変そうに思えるのだが。
「いやいや、当然の反応じゃろうて。お主らナメクジは、最悪的なヌメリ気の持ち主でもあるしの」
ライムちゃんは平然と言い返す。
「この邪悪なるスライムめ! 貴様が一番、腹立たしい! 存在そのものが不愉快だ! オレサマが直々に成敗してくれる!」
ヌメリヒョンがどこからともなく取り出した剣を構える。
なお、人間を模倣しているナメクジたちには、しっかりと手が生えている。中には足まで生えているナメクジもいるようだ
すでにナメクジとは別の生き物になっている気もするが、細かいことを気にしてはいけない。
「分が悪くなるとすぐに力で解決しようとするとは、なんと下賤なやからであろうか」
「ふっ、怖気づいたか、スライムよ!」
「誰がナメクジごときに怖気づくか! それでは、望みどおりやってやろうではないか! ワラワが負けるはずはないのじゃ!」
一歩も引かないヌメリヒョンと、やる気満々のライムちゃん。
「やれやれ、もっとやれ~!」
「せっかくだから、商売もするのです! おせんにキャラメル~! ビールもありますよ~!」
「サタン、ナメクジ相手に商売しないで!」
アクマたちは観客に徹する姿勢のようだ。
「行くぞ、腐れスライム!」
「かかってくるがよい、愚鈍ナメクジ!」
ここに、スライム魔王VSナメクジ国王の壮大な戦いが幕を上げたのであった。
……って、またそんな展開なのか!?
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




