第34話 勇者たち、罠にまみれて恋バナする
城の正面には大きな門がある。
そこには当然、兵士が立ち、侵入を拒んでいる。
無論、バカ正直に正面突破を試みるはずがない。
城の裏手に回ったアクマたち。
ライムちゃんが壁を溶かし、まんまと城の内部へと潜入する。
「ふっ。鉄壁の守りが聞いて呆れるの」
と余裕をぶっこいていられるのも、ここまでだった。
一歩城に入った途端、罠のオンパレード。
突然床が抜け落ちたり、壁から槍やら矢やらが飛び出してきたり、巨大な鉄球が転がってきたり。
王のいると思われる城の最上階まで進んでいくあいだに、次から次へと仕掛けが襲いかかってきた。
それらのことごとくを打ち破る勇者アクマ一行。
アクマは基本的になにも考えていないが、幸運な星のもとに生まれているのか、なんだかんだで上手く切り抜ける。
サタンは魔法封じの影響で役立たず状態なのだが、ナイト様よろしくアクマが颯爽と助けに入ることで切り抜ける。
ライムちゃんはスライムだから、人間用の罠など食らってもほとんど問題なく、素知らぬ顔で切り抜ける。
罠の餌食になるとしたらデビルだけ、といった状況ではあったのだが。
そのデビルすら、いつもとは気迫が違っていた。
「待っててね、シトヤカさん! あなたに危険な任務を課すなんてことがないよう、ボクが絶対に国王を説得してみせるから!」
シトヤカへの愛の力は凄まじい。
気合いだけですべてを蹴散らし、罠などものともせず、王のもとまで一直線。
実際には直線ではなく、城内はかなり入り組んだ迷路のような構造になっていたが。
それすらも、今のデビルにとってはまったく障害にならなかった。
そんなデビルに、仲間たちが茶々を入れる。
「愛に燃えておるの!」
「だな! デビルの初恋ってやつか!」
「この歳で初恋だなんて、遅すぎです!」
なんと言われようと、デビルは動じない。
シトヤカをスパイの運命から救い出すことだけに、全神経を集中させているからだ。
反応がないとつまらないとでも思ったのか、話は別の方向へと花開いていく。
「そういうお主らはどうなんじゃ?」
「アタシは勇者様をこよなく愛してますから!」
「はっはっは! オレもサタンを愛してるぞ!」
「相思相愛じゃの! ……って、サタンは男じゃなかったかや?」
「愛があれば性別なんて関係ないです!」
「いや、関係あると思のじゃが……」
「関係ない! サタンとオレは、愛し合っている! それのなにがいけないというんだ!?」
「そうです! アタシと勇者様はラブラブなんです!」
「うむ! ラブラブだ!」
そんなこんなで、いつの間にやらラブラブ状態となっていたアクマとサタン。
確かに以前から、そういう雰囲気がなかったわけではないが。
「まぁ、本人同士が納得しているようじゃから、これでよいのかのぉ……」
そう言いながらも、ライムちゃんは不満げな顔を見せる。
「アクマとサタンはラブラブ、デビルはシトヤカにラブラブ。ワラワにだけ、恋バナがないのじゃ……」
とかなんとか話しているあいだも、城内に仕掛けられた罠の猛攻は続いている。
しかし、最初から言っているように、今の4人にはまったく障害になどならない。
それはさながら、子供騙しなアスレチック程度でしかなかった。
ともかく。
そうやって恋バナを展開しながら罠を回避して走り抜けていくうちに、アクマたちはいとも易々と王の間までたどり着いていた。
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




