第33話 デビル、恋に突っ走る
デビルは考える。
自分にはなんの力もない。
アクマの猪突猛進天真爛漫荒唐無稽自己陶酔能力だって、今回は役に立たないだろう。
頼みの綱であるサタンも、魔法封じのかかった中ではただの女の子モドキでしかない。
ここで、もう1人の仲間に目を向ける。
「そうだ! ライムちゃんのなんでも溶かす能力なら、大丈夫なんじゃない?」
「うむ、そうじゃの。ワラワの能力は、問題なく発揮できそうじゃ。今はお菓子を食べ過ぎたりなどしておらぬからの!」
よし! これなら行ける!
王のもとへ赴き、文句をぶつけられる!
アクマは希望を見い出し、気合いを高める。
それを止める声。
「デビルさん、お気持ちは嬉しいのですが……。お城に侵入するなんて、さすがにそこまでするのはどうかと……。下手をしたら、デビルさんたちが捕まってしまいますわ」
シトヤカが申し訳なさそうに提言する。
だが、ここでくじけちゃ男が廃る、とばかりに、デビルはハッキリと言い返した。
「止めないでよ! シトヤカさんのために、ボクはなにかしたいんだ!」
「国王のもとへ行くのが、本当にシトヤカのためになると思っているのかい?」
サワヤカの言葉にも、耳を貸さない。
「もちろんです!」
「……そうか、だったら止めない」
「お兄様!?」
シトヤカは驚いていたが。
これでデビルは、兄の了承を得たことになる。
「話のわかるお兄様で助かりました」
「ふふっ、キミにお兄様なんて呼ばれるのは、まだちょっと早いとは思うけどね」
「まだって、お兄様! なにをおっしゃってますの!?」
頬を真っ赤に染めるシトヤカ。
そんな妹に微笑みを送り、サワヤカはこれまで以上に爽やかな声で言葉を紡ぐ。
「ともかく、ここは彼らに任せてみようじゃないか。なにか変わっていくかもしれない」
「はぁ……わかりました。ですが……」
シトヤカが静かにデビルのほうへと歩み寄っていく。
そして、
「気をつけてくださいね?」
と言って、デビルの手をぎゅっと握った。
「できれば……応援、お願いできないかな?」
少々あつかましいかもしれない、とは思いながらも、勇者使い養成学校での出来事を思い出し、デビルはお願いを申し出る。
「スパイでしたから、最後まであの養成学校で学んだわけではありませんよ?」
「それでも構わないよ」
「……わかりました。頑張ってください」(にこっ)
「あと、ボクが無事戻ってきたら……」
「……はい、そうですね。キスしますわ。ほっぺたにですけど」
「……うん」
やっぱり、ほっぺたか。
ちょっと残念に思いつつ、デビルは気合いを入れ直し、国王シタタカのいる城を目指した。
やけにニヤニヤした仲間たち3人を、その背後に引き連れて。
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




