第31話 デビル、運命の再会をする
例によって例のごとく、爆発魔法でワープしてきたアクマたち。
今回足を踏み入れたのは、スパイの国ウメボシだった。
「ウメボシって、なんだそりゃ?」
「ウメボシはすっぱいから、スパイ……なのではないかの?」
「ダジャレです! 国名がダジャレです! おかしすぎです!」
一行は、首都のメインストリートらしき部分を闊歩している。
首都だというのに人影はほとんどない。
前回のジッパングがあまりにも人口密度の高い国だったせいかもしれないが、とても寂れた印象を受ける。
「この国についても、聞いたことがあるよ」
デビルが記憶をたどって解説する。
田舎村に住んでいたデビルだが、そういった知識は読書などを通じて得ていたのだろう。
「ここは国民全員がスパイで、常に他国に紛れ込んでいるみたいだね。だから首都にもほとんど人がいないんだと思うよ」
「そんな国、アリなのか?」
「むしろ、なんでもアリなんじゃろうて」
「にゃははは! そのうち天使の国とか悪魔の国とかも出てきそうです!」
「なに? オレの国だと?」
「勇者様、アクマの国じゃありません、悪魔の国です! ……って、同じですね!」
「うむ! 同じだ!」
「……同じなの?」
と、それはともかく。
「あら? デビルさんではありませんか?」
不意に声をかけられた。
そこには、ひとりの女性が立っていた。
デビルの名を呼ぶ女性。もちろん、デビルのほうも彼女を知っている。
「シトヤカさん!? どうしてあなたがここに!?」
立ち話も悪いですし、ということで、デビルたちはシトヤカの家へと招待された。
町の一角にある、小さめの家だった。
「ワタクシ、この国の住人なんですのよ。勇者の国ライジーンにスパイの任務に出ておりましたが、つい先日戻ってきましたの」
そう言いながら、シトヤカは食事を用意してくれた。
白いご飯とウメボシだった。
「この国の人はみんな、ウメボシが大好きなんですわ! ん~~~、すっぱいです!」
「すっぱいと、おばあちゃんみたいな顔になるな!」
「そんなこと言うなよ、アクマ! シトヤカさんは、それでも綺麗だよ!」
「あら、デビルさんったら……」
なにやらいい雰囲気を漂わせるシトヤカとデビル。
食事をしながら、会話を続ける。
「任務は国王から与えられますの。次にスパイしに行く国も、もう決まっておりますわ」
「スパイなんて、危険じゃないの?」
「どこの国にも諜報機関はあるものです。それはお互いの関係性として認められてます。この国はその数がとくに多いというだけですの」
「いや、多すぎなんじゃ……」
「ふふっ、そうかもしれませんわね。ですが、ワタクシたちはそうやって暮らしてきた国民ですので……」
デビルは考える。
どうしてシトヤカさんのような女性まで、スパイの任務に就かなくてはならないんだ!
この国のやり方は、絶対におかしい!
怒りはそのままデビルの口から飛び出していく。
「やっぱり危険だよ! スパイなんて、シトヤカさんには向いてない! 国王に文句を言ってやる!」
デビルがいつになく熱くなっている。
「なんだか燃えてるな、デビル!」
「ひゅーひゅーです!」
「そこはかとなく愛を感じるの~!」
アクマたちの冷やかす声が響く中。
唐突に、家のドアが開けられた。
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




