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勇者はあくまで脇役です。  作者: 沙φ亜竜
科学の国ジッパング
28/53

第28話 勇者たち、新名所のタワーに上る

「うおっ、すげ~高いな、これ!」


 アクマが見上げているのは、天高くそびえ立つ、細長い建築物だった。


「ジッパング・スカイツリー、っていう塔みたいだね。ここから電波を飛ばしてるんだってさ」

「電波ってなんだ?」

「さぁ……」


 役割こそ理解できなかったが、どうやらその塔には人が上っていけるようになっているらしい。

 アクマたち一行は中へと入ってみることにした。


「エレベーターで展望台まで一直線?」

「意味がよくわかりませんね」

「ふむ、まぁ、行ってみればよかろう」


 アクマたちは深く考えない。

 上下する四角い箱(本人たちの感想)によって、気づいたときには展望台まで移動していた。


「うおっ!?」


 アクマが驚く。

 他の面々も、目を丸くしている。言葉も出ないくらいだった。


 一面に広がる大パノラマ。

 下に目を向ければ、都市にある建物の様子がかなり小さく映り込む。

 山頂にある都市のため、その周囲は延々と続く雲海となっていて、遠くには別の山々の姿も確認できる。


「すごいです、勇者様……」

「ああ、そうだな!」

「まさに天にも昇る気持ちじゃの!」

「うん、圧倒されるよね……」


 充分に景色を堪能したアクマたち。

 カフェで軽く食事をして、そろそろ下りようか、という話になった。


 そこへ、なにやら人影が近寄ってくる。

 人影……と言いきってしまっていいのだろうか?

 それは、なんだかよくわからない、緑色の着ぐるみだった。


「こちら、このジッパング・スカイツリーのゆるキャラ、ソラマメちゃんです!」


 着ぐるみの隣にいた女性が、解説を加えてくれる。


「どうしてマメなの……?」

「はい! このタワーを建設した責任者の大好物だったからです!」

「そんな理由なんだ……」

「なお、このタワーの正式名称は、ジッパング・スカイビーンツリーだったりします!」

「スカイビーン……空豆……? って、そんな呼び方、するんだっけ?」

「細かいことは気にしないでください!」


 名前については、まぁ、この際置いておくとして。

 アクマたちは、ゆるキャラであるソラマメちゃんの姿を観察する。

 ソラマメに手足が生えた造形。

 目や鼻はなく、端っこにある色の濃い部分――口のようにも見える部分がそのまま口となっていた。


「全っ然、可愛くないです!」

「うむ、ブサイクだな!」

「不気味と言ってもよさそうじゃの!」

「確かに、可愛い要素はどこにも見当たらないね」


 大不評。

 ソラマメちゃんは、その場で器用にも倒れ込み、がっくりと項垂れるのだった。


 ――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!


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