第28話 勇者たち、新名所のタワーに上る
「うおっ、すげ~高いな、これ!」
アクマが見上げているのは、天高くそびえ立つ、細長い建築物だった。
「ジッパング・スカイツリー、っていう塔みたいだね。ここから電波を飛ばしてるんだってさ」
「電波ってなんだ?」
「さぁ……」
役割こそ理解できなかったが、どうやらその塔には人が上っていけるようになっているらしい。
アクマたち一行は中へと入ってみることにした。
「エレベーターで展望台まで一直線?」
「意味がよくわかりませんね」
「ふむ、まぁ、行ってみればよかろう」
アクマたちは深く考えない。
上下する四角い箱(本人たちの感想)によって、気づいたときには展望台まで移動していた。
「うおっ!?」
アクマが驚く。
他の面々も、目を丸くしている。言葉も出ないくらいだった。
一面に広がる大パノラマ。
下に目を向ければ、都市にある建物の様子がかなり小さく映り込む。
山頂にある都市のため、その周囲は延々と続く雲海となっていて、遠くには別の山々の姿も確認できる。
「すごいです、勇者様……」
「ああ、そうだな!」
「まさに天にも昇る気持ちじゃの!」
「うん、圧倒されるよね……」
充分に景色を堪能したアクマたち。
カフェで軽く食事をして、そろそろ下りようか、という話になった。
そこへ、なにやら人影が近寄ってくる。
人影……と言いきってしまっていいのだろうか?
それは、なんだかよくわからない、緑色の着ぐるみだった。
「こちら、このジッパング・スカイツリーのゆるキャラ、ソラマメちゃんです!」
着ぐるみの隣にいた女性が、解説を加えてくれる。
「どうしてマメなの……?」
「はい! このタワーを建設した責任者の大好物だったからです!」
「そんな理由なんだ……」
「なお、このタワーの正式名称は、ジッパング・スカイビーンツリーだったりします!」
「スカイビーン……空豆……? って、そんな呼び方、するんだっけ?」
「細かいことは気にしないでください!」
名前については、まぁ、この際置いておくとして。
アクマたちは、ゆるキャラであるソラマメちゃんの姿を観察する。
ソラマメに手足が生えた造形。
目や鼻はなく、端っこにある色の濃い部分――口のようにも見える部分がそのまま口となっていた。
「全っ然、可愛くないです!」
「うむ、ブサイクだな!」
「不気味と言ってもよさそうじゃの!」
「確かに、可愛い要素はどこにも見当たらないね」
大不評。
ソラマメちゃんは、その場で器用にも倒れ込み、がっくりと項垂れるのだった。
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




