第27話 勇者たち、ブラ旅を満喫する
アクマたちは、最初に立ち寄った大都会から少し外れ、騒音のあまり響かない地域へと移動していた。
人の数は相変わらず多いのだが、耳が痛くなるようなことはない。
人間が4人くらい入れる、金属で囲まれた乗り物らしきものも、この辺りは随分と減っているようだ。
「ここは……商店街、なのかな?」
「なにやら、いろいろと売ってそうだな! サタン、カネはあるか?」
「もちろんです! ついさっき、使者が来てくれたです!」
サタンの謎な部分がまたしても発揮されていた。
「しかし、他国を下界と呼んでいるような民族なのじゃろ? 勝手に入ってきてしもうたが、大丈夫なのかや?」
「それは平気だと思う。人の出入りは自由だったはずだから。ただ、この国の品物を外部に持ち出すことだけは、厳しく禁じられているみたいだけどね」
「こんなにたくさんの物が溢れておるのに、持ち帰ったらダメなのかや? カネを払って買ったのなら、所有権はこちらに移ると思うのじゃが」
「うん。そういう決まりになってる。たとえ購入したものでも、持ち出しは不可みたいだよ。出国時に検査されるらしくて……」
「ふむ。面倒なんじゃの~」
おそらくそういう部分で、この国の科学力が脅かされることのないようにしているのだろう。
人間の記憶に関しては、持ち出し不可にはできないわけだが。
もとより、周辺諸国よりもずっと進んだ技術を有していると自負しているため、知識くらい持ち帰られたとしても、それを実現して脅威になるとまでは思えない。
そんなふうに考えているのだと推察できる。
「といっても、食べ物なんかは、随分と他の国にも広まってるんだけどね」
「ほうほう」
「たとえば、アクマの好きな豆腐だとか納豆だとかも、この国が発祥だったはずだよ」
デビルの解説を聞いて、サタンがおかしな方向で食いつく。
「腐ったものが好きなんて、さすが勇者様です! 脳みそが腐ってるだけのことはあります!」
「そうだろう、そうだろう! はっはっは!」
「いや、褒めてないと思うけど……」
なぜか喜ぶアクマに、頭を抱えつつ。
デビルはさらに解説を続ける。
「あと、ボクたちが話している言葉も、この国が発祥って説があるとか」
「そうなのか!」
「確かに、どこの国に行っても、言語は共通ですよね!」
「ワラワたちの国ですら、同じ言葉を喋っておるしの~。そういうものと思うておったが、よくよく考えてみれば不思議なことじゃな」
国が違えば文化も違う。言語だって違っていていいはずなのに、どこの国でも同じなのが現状。
それは、進んだ国――すなわち、ここジッパングで使われていた言葉を、周囲の国の人が真似して広まったと考えれば説明がつく。
もともと使っていた言語があったかもしれないが、明らかに優れていて使い勝手もよい別の言語が入ってくれば、そちらに移行していったとしてもおかしくはないだろう。
「ふむ、すごい国なんだな、ここは!」
駄弁りながら町の中を歩いていくアクマたち。
その手には、なにやら様々な食べ物が握られている。
柔らかくて丸いものが3つほど串に刺さった食べ物――、
中に黒っぽくて甘い物体の入った魚の形をした食べ物――、
壊れやすい食べられる容器の上に白くて冷たいクリームがぐるぐる巻き状態で乗せられている食べ物――。
美味しい食べ物のおかげか、デビルも含めて全員、笑顔をこぼしていた。
なお、ライムちゃんが食べているものは、手足が生えた上、なにやらピクピク動いているようにも見えたのだが。
それがなんだったのかは、深く追求しないでおこう。
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




