第26話 勇者たち、大都会に立つ
さて、また新たな国へと入ったアクマたち一行。
そこはとてつもない大都市だった。
「うお、すげぇな!」
アクマが見上げる視線の先には、何階建てだかわからないほどの高層ビルが立ち並んでいる。
町には人が溢れ、巨大な四角い箱のような乗り物が行き交い、どこからともなく様々な音が鳴り響く。
「凄まじいですね! なんですか、ここは!? 音地獄ですか!?」
サタンは耳を塞ぐ。
音地獄……。そんな地獄があるのかは知らないが、実に的確な表現と言えよう。
とりあえず、道の端から裏路地へと入り、雑音が少しでも減る場所を探し出す。
「話には聞いたことがあるよ。ここは科学の国ジッパングだ」
デビルは文献で読んだ話をアクマたちに聞かせた。
とある山の上に、非常に科学の発展した国がある。
その国は、平べったく広がっている山の頂上に国を成している。
山頂部分だけが国土のため、国と呼ぶには狭いのだが、山の頂上として考えればかなりの広さがある。
そこには人が溢れ、科学力を駆使した独自の生活を営んでいるのだという。
「それがこの国ってわけか」
「服装も髪の毛もカラフルで、派手派手です!」
「四角く薄っぺらい物体を顔に近づけて、なにやら喋っておる者が多いのも、少々不可解じゃの~」
忙しなく道を歩いていく人々を見ると、恐ろしさすら感じられる。
実は人間ではなく、ロボットが歩いているのでは。
黙々と歩いている人々の前で転んでしまったら、そのまま気づかれずに踏み潰されてしまうのでは。
そんな感想すら抱く。
「この国の人って、周囲の他の国を下界と呼んでるみたいなんだ。それで、下界のことにはまったく興味のない民族でもあるとか……」
「高い科学力を持っているのに他国を制圧しないのは、興味がないからなのじゃな?」
「うん、そういうことになると思う」
デビルの解説に、アクマとサタンは眉をひそめる。
「なんか、嫌な国だな!」
「ほんとです! 早く次の国へ行くべきかもしれないです!」
その意見には、デビルが反論する。
「世の中には色々な国があるんだから。こういう場所も、しっかり見ておくべきだと思うよ? それに、文献が間違ってるかもしれないし」
「文献を鵜呑みにはできないってことか」
「うん。実際、他の文献だと、この国の人はとても温厚な民族だから、他国を侵略するなんて考えすら浮かばない、って記述されてたはずだし」
「そうなのか……」
一瞬だけ考え込んだのち、
「んじゃ、もう少し回ってみるか!」
アクマはなんとも簡単に、デビルの思惑どおりの答えを導き出す。
そんなわけで、勇者たち一行のジッパング観光ツアーがスタートしたのであった。
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




