第25話 勇者たち、脱出する
緊張感のカケラもなく、牢屋の中で無駄話をするアクマたち。
正面の牢内にいるサワヤカも、積極的に会話に加わってくる。
「この国の王は、自分はお菓子から進化した神だ、なんて言っているみたいなんだよ」
「あ……怪しすぎる!」
「自分を神だなんて言うやつが、まともな王のはずがない!」
「まったくです! 国民がかわいそうです!」
「お菓子がたくさんあるという部分だけは、いい国だと言えるのじゃがの~」
国王の悪口に花を咲かせる。
捕まってしまいそうな内容ではあるが、すでに牢屋に入っているのだから、もはや関係ないだろう。
そうやってしばらく話し続けていたのだが。
突然、サワヤカが会話から抜けることになった。
「それじゃあ、助けが来たからワタシは行くよ」
「え?」
きょとんとするデビルの目の前で、それは起こった。
どごぉぉぉぉ~~~~ん!
大爆発。
どうやら、正面の牢の壁が壊されたらしい。
「キミたちもお元気で……って、死刑になるんだったっけ」
苦笑を残し、サワヤカは去っていった。
「爆発魔法で逃げたの?」
「じゃが、ここは魔法封じがかかっているんじゃなかったかの?」
「さっきのは魔法じゃないです! 爆弾を使ったんだと思います!」
なんであれ、こんなに大きな爆発があれば、当然ながら音や振動は周囲にも伝わる。
それからすぐ、異変に気づいた何人もの兵士たちが大慌てで集まってきた。
「うおっ! ヤツが逃げたぞ! すぐに追いかけろ! 追跡魔法を使え!」
「ですが隊長、ここは魔法封じがかかってます!」
「そんなの、すぐに解いてしまえ!」
……というわけで。
ちゅどぉぉぉぉぉ~~~~ん!
新たな爆発が起こる。
今度は別の牢……すなわち、アクマたちのいた牢で。
無論、魔法封じが解かれた途端、サタンが爆発魔法を使ったのだ。
混乱する兵士たちを尻目に、アクマたちは魔法によって開いた穴を抜け、牢屋から脱出した。
しばらくあと。
アクマたちの姿は、すでに町の外にあった。
「無事に脱出できてよかったです!」
「うむ! あんなおかしな理由で処刑されるなど、納得できぬからの!」
「オレとしては、お菓子から進化したとか言ってる国王に、一度会ってみたかったがな!」
「これ以上、関わらないほうがいいでしょ。どうせ、お約束の状態になってると思うし」
デビルの言うとおりだった。
アクマたち4人は、実に素早い対応で全国指名手配を受けていたのだ。
なお、罪状としては、お菓子様を食した罪に加え、脱獄の罪も増えていたりする。
そんなわけで、またもや入れる国が減ってしまったアクマたち。
「よし、サタン! 次の国に行くぞ!」
「ラジャーです、勇者様!」
「やはりお主らと一緒にいると、退屈しなくて済みそうじゃの~!」
「旅をすればするほど、立ち入れない場所が増えていく気がするな……」
頭を抱えるデビルを従え、勇者アクマは今日も行く。
次の行き先がどこの国になるのか、それは神のみぞ知る。
……いや、神すら知らない。
知ったこっちゃない、と言ったほうがいいかもしれないが。
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




