第24話 この国、変なんです
アクマたちは今、牢屋の中にいる。
始まりの国ハジマリン以来、2度目の投獄。
まぁ、各地で指名手配になっている身ということを考えれば、ある意味では当然の流れなのかもしれないが。
「久しぶりだな! やっぱり、たまには牢屋にも入っておかないとな!」
アクマはなぜか元気だ。
いや、ハジマリンで牢屋に入ったときも、同じような感じだったか。
「アタシまで一緒の牢屋に入れるなんて、レディーに対して失礼です!」
憤慨するサタン。
「いやいやいや、サタンは男じゃん。当然でしょ?」
見た目は女の子としか思えないが、確認すればすぐにわかる。
「だったら、ワラワがここにおるのは、どう説明するつもりなのじゃ?」
「スライムなんて、男だろうが女だろうが全然違わない、ってことだろ!」
「むぅ、それはスライムに対する侮辱ではないのかや?」
牢屋に入れられていても、いつもと変わらず騒がしいアクマたちだった。
それは心に余裕があるからでもある。
なぜなら、サタンの爆発魔法でいつでも逃げられるからだ。
……というのは、誤った考えだったりする。
「ここは魔法封じがかかっていて、魔法が使えないです! アタシは今、役立たずです! へっぽこです! ただのお荷物です!」
「はっはっは! 役立たずでもへっぽこでもお荷物でも、サタンを見捨てたりはしないからな!」
「さすが勇者様です! デビルと違って心が広いです!」
「ボクだって、見捨てたりはしないけど……」
ともかく、サタンの魔法はあてにできない。
だったらライムちゃんが壁を溶かせばいい。
……というのもまた、誤った考えだった。
「お菓子を食べ過ぎたせいで、壁でも鉄でも溶かす液体が出せなくなっておるのじゃ! それどころか、軟体能力も失っていて、オリの隙間から抜けることもできぬのじゃ!」
「にゃはははは! ライムちゃんも役立たずです! アタシとお揃いです!」
「うむ、お揃いじゃ!」
こんな状況でも笑っていられるのは、単純にそういう性格だからだろう。
デビルはひとり、ため息をつく。
「それにしても、お菓子様ってなんだよ……」
どうやら4人は、お菓子様を食べてしまった罪で処刑されるらしい。
なんだそれ。と納得のできないデビル。
そこで、不意に声がかけられる。
「なんだ、知らないのかい?」
声は正面の牢から聞こえてきた。
同じように捕まっている男性が話しかけてきたのだ。
長髪をなびかせる爽やかな印象のその男性。笑顔を見せながら自己紹介する。
「ワタシはサワヤカっていうんだ。よろしくね、キミたち」
なんとも、そのまんまな名前だった。
と、それはともかく。
サワヤカの話によれば。
ここは、お菓子がすべて、お菓子こそが最高、という精神に乗っ取って形成されている国家らしい。
人間はお菓子の前にひざまずき、恭しく頭を下げる。
お菓子は人間よりも位が高く神聖なもの。それがこの国の常識なのだという。
「え? 食べ物なのに?」
「食べる用のお菓子と敬う用のお菓子に分類されているんだよ」
デビルの疑問に、サワヤカが答える。
「敬ってどうするんだろう? しけちゃうだろうに……」
「しけたりカビたり腐ったりすることで、神へと昇華する、という考え方なんだ」
補足説明をされたところで、やっぱりわけがわからなかった。
しかし、そういう国になっているのは事実。
アクマたちが食べた高級なお菓子、それが敬う用のお菓子、お菓子様だったのだ。
「食べちゃったもんね、ボクたち……」
「お菓子は食べ物だ! なにが悪いっていうんだ!」
「そうだそうだ! 食べないで腐らせるなんて、もったいないです!」
「うむ、そうじゃの! もったいないスライムが出るぞよ!」
「ここはおかしな国だな! お菓子の国だけに!」
「さすが勇者様! 冴えてます!」
しょんぼりするデビルとは対照的に、反省の色がないアクマたち。
単にお菓子を食べただけという認識でしかないのだから、当たり前かもしれないが。
それでも、処刑を待つ身だということに変わりはない。
次回、アクマたちは本当に処刑されてしまうのか!?
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




