第21話 勇者たち、食べまくる
新たな国へと足を踏み入れた勇者アクマたち。
今いるのは、随分と甘い匂いに包まれている町だった。
「最高の国だな!」
「ええ、本当です! 夢のような国です!」
喜びの声を上げるアクマとサタンからも、甘い匂いが漂う。
正確には、口から甘い息を吐いている、と表現するべきだろうか。
2人はひたすら、甘いお菓子を食べている。
ここは、お菓子の国スイーティア。
町の中にはお菓子が溢れ、ほとんどすべての店がお菓子の商店となっているようだ。
甘いものだけでなく、中にはしょっぱい系のお菓子もあるわけだが。
匂いとして流れ出る割合は、甘いもののほうが圧倒的に多い。
これだけのお菓子に囲まれたら、狂喜乱舞するのも当然と言えよう。
「でもさ……太るよ?」
デビルが指摘する。
「大丈夫だ! オレは太らない体質だ!」
「アタシも太らないです!」
「くっ……!」
返ってきた答えに、デビルは唇を噛む。
「ボクは控えておくよ」
「デビルも食えです! ぶくぶくと太りやがれです!」
「やだよ」
「丸々太ったデビル、見てみたいよな!」
「やだってば」
サタンとアクマの囁きには乗らない。
「ところで、お金ってどうしたの? この国の通貨が必要なはずだけど、持ち合わせなんてなかったような……」
「サタンが持ってたんだ! いつの間にか!」
アクマの言葉を受け、サタンは笑顔で袋に入った大量の金貨を見せつける。
「こ……これ、どうしたの?」
「宝物庫ってところから拝借してきたです!」
「って、ダメだろ、それは!」
怒鳴りつけるデビルだったが。
「なんて、嘘です! お母様からの資金援助です! 使者が来て、渡してくれたです!」
デビルは考える。
本当だろうか?
かなりの大金だと思うのだけど。
というか、サタンってやっぱり、結構謎だよな……。
しかし、それ以上考え続けることはできなかった。
「細かいことは気にするな! ほれ、食え!」
「そうだそうだ、食いやがれです!」
アクマとサタンによって、口の中に無理矢理お菓子類を押し込まれたからだ。
こうして、デビルを丸々と太らせる作戦は、しっかりと実行に移されるのだった。
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




