第18話 デビル、熊と戦う
しばらくのあいだ、講義を受けるだけの日々が続いた。
席順は毎度自由だったが、講義を受けている生徒はほぼ固定。自然と同じ場所に座る人が多くなっていた。
朝起きて教室に入ると、あの女の子は必ず先に来ていた。
当然のように、デビルは隣の席に着く。
「おはよう」
「あ……おはようございます」(にこっ)
何日も経てば、いくら奥手なデビルでも、それくらいの挨拶は交わせるようになる。
といっても、まだお互いの名前も知らない状態なのだが。
そんな平穏な毎日が過ぎ去ったある日。
授業の様子に変化が訪れる。
今日は実技の授業になるのだという。
しかも、2人1組のチームになるよう、先生から指示が飛ぶ。
2人1組……。
黙々と授業を受け続け、終わったら寮の部屋に帰るだけだったデビルに、親しい友人などいるはずもなかった。
どうしたものか。
途方に暮れていたデビルに、声がかけられる。
「あの……よかったら組みませんか?」
それはいつも隣の席に座っているあの女の子だった。
「え? ボクでいいの?」
「ええ、是非。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく!」
「えっと……ボクはデビル。キミは?」
「ワタクシは、シトヤカですわ」
「へ~、シトヤカさんか……。いい名前ですね」
「あら、ありがとうございます、デビルさん。そちらもカッコいいお名前ですわね」
こうして、初対面から何日も経った今になってようやく、それぞれの名前を伝え合った2人。
なんとも微笑ましい雰囲気に包まれていた。
さて、実技なのだが。
舞台は森の中に作られた校庭。
そこで、その内容について語られる。
「今日は野生の熊と戦ってもらう!」
衝撃の授業だった。実際に、何匹もの熊が周囲の森から現れる。
「勇者は猛獣だと思って扱え、という教えだ! 勇者使いとして必要な訓練だ!」
なんだよ、それは!?
デビルは心の中で憤慨する。
口に出して叫んだりしないのは、先生に逆らうことまではできない弱腰の性格を如実に示している。
「熊と戦うだなんて……。シトヤカさんだっているっていうのに……」
デビルがぼそぼそとこぼした不満に、シトヤカが反応する。
「ワタクシ、やりますわよ。授業ですもの」
止める間もなく、シトヤカは果敢にも熊へと向かっていく。
直後、
「きゃっ!」
熊が大きく腕を振り回し、シトヤカは弾き飛ばされてしまった。
すぐさま駆け寄るデビル。
「シトヤカさん! 大丈夫?」
「え……ええ、なんとか……」
そこへ熊が迫ってくる。
デビルはシトヤカを庇うように、一歩足を踏み出す。
「ボクが相手だよ、熊!」
「デビルさん!」
獰猛な野生の熊を前にして、デビルはどうなってしまうのか!?
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




