第15話 勇者たち、再び旅立つ
無数のスライムたちが、人間の住む町から出て、もともと暮らしていた森へと戻っていく。
それを見送るアクマたち。
その目の前には、スライムの女王であるライムちゃんがいる。
「お主らには、世話になったの」
ライムちゃんは素直に感謝の意を示した。
「はっはっは! オレにかかれば、ざっとこんなもんさ!」
「アクマはなにもしてないと思うけど……」
それを言ったら、デビルも大したことはしていないことになるが。
「ライムちゃんも、森に帰っちゃうんですか?」
「ああ、そうじゃ。ワラワはスライムたちを束ねる女王であり、魔王でもあるわけじゃからの」
「魔王設定はそのまま貫くんだ……」
なにげない会話を続けたあと、ライムちゃんはアクマたちに背を向ける。
「それでは、そろそろワラワは行くぞよ」
「おう! 元気でな、ベチャベチャ!」
「ベチャベチャ言うでない!」
「ライムちゃん、寂しい余生を堪能しやがれです!」
「寂しい余生でもないわ! お主らはほんとに、全員揃って失礼じゃのぉ~!」
「いや、ボクは失礼なことなんて言ってないけど……」
「お主は存在自体が失礼じゃからの!」
「ひどい! どうしてボク、そんな扱い!?」
結局会話は全然終わっていなかったが。
「ともかく、これでお別れじゃ。お主らも、いい旅になるとよいの」
ライムちゃんは森へと向けて歩き出す。
……スライムだから、歩くという表現は適当ではないか。
ライムちゃんは森へと向けてぬめり出す。
最後にひと言だけ、
「まぁ、またどこかで会うこともあるかもしれぬがの」
意味ありげなセリフを残して、ライムちゃんは去っていった。
新たな旅の前に英気を養おうと、一旦首都へと戻ったアクマたちだったのだが。
町中にやけに多くの衛兵が立っている。
そして、なにやら紙らしきものを配っている。
「なんだろう?」
受け取ったデビルは、目を丸くする。
『WANTED!
自称勇者アクマ(役立たず)、勇者のおまけデビル(地味)、エセ魔女っ娘サタン
以上3名、国王アクニーンの名のもとに、全国指名手配!
罪状は、国を挙げた一大プロジェクトの妨害!
捕まえた者には、賞金100万ゴールド!』
そこにはご丁寧に似顔絵まで描かれていた。
「ん? お前ら……」
紙……というか手配書を渡してきた衛兵が3人の顔をのぞき込み、不審そうな目を向けてくる。
「これは……やばい……?」
「サタン、ワープだ!」
「わかりましたです、勇者様!」
ちゅどぉ~~~~ん!
爆発魔法でこの国の首都を脱出したアクマたち。
こうして、行ける国がまたひとつ減った勇者一行であった。
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




