第14話 スライム魔王、憤慨する
「話は聞かせてもらったぞよ!」
突然、スライム魔王ライムちゃんの声が響く。
「もちろん、オレたちもいるぜ!」
「ボクもね」
言うまでもなく、オマケの2人もいる。
「オマケ扱いはひどいと思うけど……」
ナレーションにツッコミを入れてくるあたり、デビルはさすが、主人公だけのことはある。
まったく目立っていないとしても、主人公はデビルなのだ。
「まったく目立ってなくて悪かったね」
それはいいとして。
「お主ら! 城の外まで出されたのではなかったのか!?」
「ワラワが壁を溶かして侵入してきたのじゃ!」
城壁を溶かして侵入とは、実に大胆な方法だった。
「なぜそんなことを……!」
「それはこっちのセリフじゃ! スライムを非常食にするなど、言語道断! 覚悟するがよい!」
ライムちゃんが国王アクニーンに飛びかかる。
兵士たちが制止しようとするも、どこからともなく湧いて出た幾多のスライムによって全身べちょべちょに包み込まれる。
当然、アクニーンにもライムちゃんが全身を使って絡みついている。
「うぎゃ~~~~! やめるのじゃ! 気色悪い~~~~!」
「気色悪いじゃと~~~!? 失礼にも程がある! しかも、そんなふうに思っているものを食おうとするなど、片腹痛いわ!」
スライムに片腹などないと思うが。
とにもかくにも。
容赦のないライムちゃんを筆頭に、多数のスライムたちが寄ってたかって絡みつき、国王と兵士は全員、窒息寸前にまで陥ってしまった。
「うわ~~~……。スライムを怒らせると怖いです~!」
「ボクたちは絶対に、スライムには逆らわないようにしようね」
ところで。
どうしてライムちゃんたちが、室内にいる国王とサタンの会話を聞けたのかというと。
サタンが1人で残ることになった際、魔法を使っていたからだった。
音を別の場所に届ける魔法。
今回は、別れ際に握手をしたデビルの手がスピーカーの役割となっていた。
握手をしたもう一方、すなわちサタンの手の辺りに響いてきた音が、デビルの手へと転送されたというわけだ。
「爆発でワープする以外の魔法も使えたんだな、サタン!」
「当たり前です! 朝飯前です! 夜食に焼肉です! アタシを見くびっちゃいけないです!」
「夜食に焼肉……?」
「はっはっは! さすがオレの手下だ!」
「ですよねですよね!? 思う存分、褒めやがれです、勇者様!」
「焼肉はスルー……?」
いつもながらの、わけのわからない会話を展開させる3人の横では、無数のスライムによってグチョグチョのネチョネチョのベッチャベチャになった国王と兵士の姿があるのだが。
それについては、デビルも華麗にスルーするつもりのようだ。
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




