第13話 魔女っ娘サタン、スイーツを食べる
国王アクニーンによって、サタンは別室へと連れていかれた。
そこには、豪華な椅子とテーブルがセットされていた。
テーブルの上には白いお皿も用意してあり、プルプルした半透明の物体が乗っている。
「ようこそ、ワシのプライベートルームへ。心からのもてなしをさせてもらうよ」
アクニーンも遅れて部屋に入ってくる。
ニタリと笑う姿は、まさに悪人といった様相だった。
だが、サタンがここに呼ばれたのは、若い娘を集めてハーレムにするとか、そういった目的ではなかった。
「娘……サタンとかいう名前だったな。そのデザートを食べて、正直な感想を述べてほしい」
「デザートの感想……ですか?」
「うむ、そうだ! 新作のデザートを城で作っていてな。デザート好きな若い娘を集めて食べてもらい、改良を加えておるところなのじゃ!」
「はぁ……。国王のすることじゃない気もしますが、そういう理由なら全力で協力しますです!」
じゅるり。
ヨダレを垂らしながら、目の前にあるデザート……というかゼリーをいただこうとスプーンを構えるサタン。
そこで……。
「ありゃ?」
つるりん。
ゼリーが、
逃げ出した。
「え~っと……」
「あうううう、食べないで~……」(ぷるぷる)
逃げたゼリーが震えながら懇願する。
よく見れば、しっかり顔らしき部分も存在している。
どうやらこのゼリーの正体は、スライムだったようだ。
「むう……。生きがよすぎたようじゃの」
「すみません、国王!」
国王の叱責に、兵士が頭を下げる。
「これは、どういうことですか? アタシにスライムを食べさせようとするなんて……」
まさか、ライムちゃんの側近と紹介されていたから、内部分裂させようと企んだとか?
サタンはそう考えたのだが、それは間違いだった。
「この国は非常に繁栄しておる。国が大きくなるのはいいことじゃが、人が増えれば食料が足りなくなってくるのは避けられぬ。そこで、ワシは一計を案じたのじゃ」
食料不足の対策として、国内に多数生息しているスライムを使う手段を思いついた。
そして、スライムの女王ライムちゃんを騙し、共存と称して国内各地の町にスライムを住まわせるように仕向けた。
食べ物が少なくなってきたら、いつでも食べられるように。
今回は基本のゼリーとしての味見をさせようとしたが、それ以外にも、モチのような感じで主食にする計画も練っていたのだという。
なお、ライムちゃんを首都に住まわせなかったのは、女王が近くにいて計画がバレては困ると考えたからだった。
「ス……スライムを食べるなんて、そんなのありえないです! キモいです! ばっちぃです! えんがちょです!」
「なにを言う! 餓死するよりはマシではないか!」
スライムが動いたことにより、完全にバレてしまったと悟り、国王は開き直っている。
「ともかく、ワシの崇高な計画に賛同できないのであれば、生かしておくわけにはいかぬ! 娘、悪いが死んでもらうぞ!」
パチン。
国王が指を鳴らすと、武器を構えた大勢の兵士たちが集ってくる。
サタン、絶体絶命のピンチ!
というところで、
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




