第12話 魔女っ娘サタン、招かれる
城の前に、アクマたち4人は立っている。
「やっぱ、城ってのはでかいな! 国王は贅沢の限りを尽くしてるって感じだな!」
「アクマ……頼むから、城の中では余計なことを言わないでよ?」
「わかってるって! デビルは心配性だな~!」
絶対わかってない。アクマは脊髄反射的に余計なことを言うクセがあるんだから。
と思ってはいても、口にはしないデビル。
アクマの機嫌を損ねることは、もっとも避けるべき事態だと悟っているからだろう。
「ん? なんだお前たちは」
城門前に立つ衛兵に、当然ながら止められる。
「ワラワはスライム国の王女にして魔王のライムである。国王アクニーンに謁見に参った」
「あ……ああ、これはライム様。よくぞ起こしくださいました。少々お待ちください」
衛兵の1人が城の中へと入っていく。国王に直接確認を取るためだろう。
「国王の名前、アクニーンっていうのか。絶対、顔も悪人面だよな!」
「アクマ、喋らないで」
しばらく待たされはしたものの。
ライムちゃんが同行していることにより、4人はあっさりと謁見の間まで通された。
「国王アクニーン、やっぱり悪人面……」
「アクマ、やめなって」
小声でやり取りするアクマとデビル。サタンは呆れたように肩をすくめている。
そんな3人を従え、ライムちゃんが玉座の前まで歩み出た。
鋭い眼光の国王アクニーンは、意外にも爽やかな印象の声で語りかけてくる。
「スライム国の女王ライムよ、よくぞ参られた。……む、他にも供の者がおるようじゃな」
「ワラワの側近じゃ。今日は質問があって伺わせてもらったのじゃが……」
今回の目的は、スライムとの共存を持ちかけてきた国王の真意を探ること。
ライムちゃんはなんの作戦もなく、バカ正直に問いかけようとしていたのだが。
「そんなことより、ワシは非常に満足しておる。スライムたちとの共存計画、随分と順調に進んでおるからな。それもこれも、ライム、そなたが協力してくれたからこそじゃ。礼を言うぞ」
「は……はぁ、それはよかったのじゃ」
「今後もしっかり、計画の推進に励んでもらいたい」
国王アクニーンはそう言い放つと、話は以上だとでも言うように、兵士たちに合図を送る。
「お客人たちを城の外までご案内してあげなさい。それでは、これにて謁見を終了とする」
あまりにも一方的な展開。
しかし、国王に対して無礼を働くわけにもいかない。
素直に帰ろうとした、そのとき。
「そうじゃ、そこの娘。お主だけ、少しのあいだ残ってはくれまいか」
国王に呼び止められたのはサタンだった。
魔女っ娘サタン。
正確には、魔女っぽく見える男の娘のサタン。
「あっ……こいつ、こう見えても実は、おと……もごごっ!」
「いえ、なんでもありません」
アクマの口を、デビルが手で塞ぐ。
「サタン……あとは頼んだよ」
「……仕方ないですね、了解しましたです。あとでお酒でもご馳走してもらうことにするです」
「ん、わかった」
小声で意思疎通、なぜか握手を交わすデビルとサタン。
そしてその場にサタンを残し、ライムちゃんを含む3人は謁見の間から出ていった。
「それで、アクニーン国王様。アタシになにか御用でしょうか……?」
「うむ。ワシは今、若い娘を集めておってな。お主にもワシの崇高なる計画の一旦を担ってもらう」
パチン。
国王が指を鳴らすと新たに兵士たちが現れ、サタンは別室へと連れていかれてしまった。
名前のとおり、本当に国王は悪人なのか!?
サタンはいったい、どうなってしまうのか!?
……サタンは男だし、べつにどうなっても構わない、なんて言わないで!
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




