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はじまり の ゆめ
そこは小さな光の届かない小部屋だった。
分かるのは咽帰るような鼻を刺す匂いと、足元に流れる液体。
その正体はなんなのかは容易に想像ができ、それ故に見たくなかった。
そんな心中をあざ笑うかのように何も見える筈のない闇の中で視界が鮮明に部屋の様子を映し出した。
散々に散らかる人だったモノ達とそれから流れる紅い液体。
なるべくは見たくなかった惨状、その奥に彼女は居た。
体中を鎖で繋がれ、白い肌は返り血で紅く染まっている。
この惨状を作り出したのは彼女だ。何故だか分からないがそう確信できる。
俺の存在に気付いて気付かずか彼女は虚ろな目で何かを語りかけている。
だがその声はか細く擦れて居て、何を言っているのかまでは分からない。
俺は彼女が何を言って居るのかが知りたくて。一歩、また一歩と彼女に近づく。
彼女に近づく事に対し不思議と恐怖はなかった。
そして彼女に触れる瞬間、俺は夢から覚める。