5-1
5-1
朝を迎えた四季文房具店には、二人の妖怪が訪れていた。本来ならば営業時間外なのだが、その妖怪というのが以前春一も世話になった呱々(ここ)という種族の佐伊だったので、特別に店を開けていた。
妖怪と言っても見た目は人間と変わりなく、どこから見ても父と男の子の親子だった。人間で言ったら小学校一、二年生くらいの男の子はオレンジジュースを飲んでおり、父親の佐伊の方はコーヒーを一口飲んで、話を切り出した。
「いや、今日春一さんがいてくれて本当良かったです。えと、紹介します。こいつは俺と同じ呱々の子供で、名前は福良です。こいつ、小さいから呱々の群れからはぐれちゃって、俺のところに転がり込んできたんです」
「ふぅん。福良、こんにちは」
春一が目線を福良に合わせて挨拶すると、彼は大きな声で「こんにちは!」と返した。元気のいい子供だ。
「それで、春一さんにお願いなんすけど、今日一日、福良を預かってくれませんか?」
「へ?」
「俺も他の同居人もみんな用事があって、こいつ一人になっちゃうんですよ。でもまだ一人にするには心配だし……。お願いします!」
両手を合わせて懇願する佐伊に、春一は頬をポリポリと掻いて、少し考えていたが、やがて頷いた。
「まぁ、他ならぬ佐伊の頼みだし、いいよ」
「ありがとうございます!夜の七時までには引き取りに来るんで、それまでお願いします。適当に遊ばせてやってください」
「うん、わかった。福良、今日はお兄ちゃんと一緒に遊ぼうな?」
「うん!」
春一は笑顔になって福良の頭を撫でた。実は彼、子供が大好きであり、子煩悩な所もある。
「じゃあ、春一さん、お願いします」
そういって佐伊は席を立った。