プロローグ
TRUMPの続編です。
話を見て気になりましたら、前作も見ていただけると幸いです。
妖怪たちが蔓延っている世界。それは当たり前のものだった。人間と妖怪達はお互いに支えあいながら共存してきた。数世紀前までは。
科学が進歩したこの世の中で、妖怪は次第に住処をなくしていった。肩身は狭くなり、光は人間達だけに当たった。
本来共存するはずの人間と妖怪。その二つの力が均衡できなくなった現在、妖怪を含めた世界はぐにゃりと曲がっていた。
しかし一般の人間達に妖怪はわからない。妖気が感じ取れないからだ。妖怪と言えども、能力を発揮するまではただの人か、あるいは妖精。故に、妖怪の存在は今や一部の人間しか知らない事実になっている。
そんな一部の人間が、集中的に存在する場所があった。それがここ、数珠市。日本の真ん中ほどに位置するとある県の西部地域。ただの行政都市に、妖気を感じ取れる人間が数人。そして、その中でも特に妖怪に関わっている者が二人。彼らは「妖万屋」を名乗り、文房具店を拠点に活動していた。
大学生の四季春一こそ万屋の主人であり、それを援護するのは助手の夏輝だ。彼らは特性の呪符を用い、犯罪行為をする妖怪達を取り締まっていた。
枢要員という妖怪世界の警察組織も動いてはいるが、彼らも妖怪だけに人間との揉め事は出ていけない。そういう時にも活躍するのが春一達である。
また、万屋の彼らは人間から寄せられた妖怪にまつわる揉め事も解決しており、人間界でも一部の人間は彼らを利用していた。
そんな文房具屋に今日も悩める人間がやってくる。その胸に漠然とした不安を抱きながら。




