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TAKE3 どうもドッペルゲンガーです

 どうも、今回は一週間以内で投稿することができました。前回は一人の人間が二人存在している!? という、SFチックな終わり方をしました。さて、今回はどのように流れていくのでしょうかね?

 それではどうぞ


「ふぅ~。全く、岩城にも困ったもんだな」


 そう言いながら、隼を引きずって放送室に入ってくるリン。リンは、僕の視線に気づいたのか首をかしげながら聞いてくる。


「どうしたんだ? 天津。まるで、自分のそっくりさんを見つけたような顔をしているぞ?」


 いや、たしかに見つけたよ。そっくりさん。…………お前のだけど。


 待て、落ち着け。翔。考えてみれば、今見えている範囲ではリンは一人しかいない。つまり、さっきまで僕の後ろにあるパイプ椅子に座っていたリンは、瞬間移動したから僕の目の前にいて、後ろには誰もいない――。


 って、いる――――――ッ!?


 やっぱりいるよ。おかしいよ。なんだよこれ……。


「お前は、二重の〇みだけでなく、影分身も使えたのか……」


「いや、何を考えていたか知らないが、なんでそんな話になってるんだ!?」


 リンが意表を突かれ、驚きながらそう言った。


 それもそうだろう。リンの視点から見ると、隼を引きずりながら放送室に入っただけなのに、二重〇極みと影分身を使えることにされてしまったのだから。


「しょうがないだろ! これが一番しっくり来る解釈なんだよ」


「おかしいだろ!? そもそも、なんで大前提に、あたしが二〇の極みを使えることになってるんだ!?」


「この前、隼に襲いかかってたじゃん」


「違う。あれは襲いかかったのではなく人体実験だ!」


「おい! 人の人権を無視して、何してんだよ!?」


 人体実験だ! という言葉には、いくら満身創痍の隼でもスルーすることができなかったらしい。


 しかし、そんな肉体的損傷が激しい隼に、僕たちは容赦なく暴言という名の言葉の槍で精神を口撃する。


「「隼(岩城)は黙ってろ! そして、お前に人権はない!!」」


 なんという奇跡だろう。こんなにも長い台詞を殆ど変わらない言葉でハモることができるなんて……。


「お前たちの俺への見方が一緒で、俺はとても悲しいよ!?」


 隼がOTZ状態になりながら涙声で叫ぶ。


「まあまあ、皆さん。落ち着いて下さい。リラ~ックス、リラ~ックス」


 ポンポンと肩を叩かれたので後ろを振り向くと、リンにそう言われた。


「これが落ち着けるかよ! リンはすこし黙ってろ。今、こっちのリンと話を…………」


 してるんだ と言おうと思ったときに少し違和感を感じた。


「どうかしました?」


「君……だれ?」


「へ?」


「リンは僕たちに敬語なんて使わない」


 そうなのだ。リンは僕たちに話す場合は、なぜか男口調で話している。この前、不思議に思って理由を聞いてみたら、「気にするな。生まれつきの癖だ」と言われてしまった。


 つまり、先程から感じていた違和感はこれなのだ。


「リンは生まれつきの癖で、僕たちには男口調で話す。でも、さっきのお前は敬語を話した。よって、今の状況では男口調を話しているリンと敬語を話しているリンの二人が存在する訳だ。生まれつきの癖がそんな簡単に直るわけがない」


 つまり、と言いかけたところで放送室の入り口側のリンに僕の言葉は遮られた。


「おい、天津。さっきから誰と話しているんだ?」


 そう言って、リンは僕の肩越しにパイプ椅子側のリン――もうひとりの自分とご対面……。


「おう、おはよう」


 まさかの朝の挨拶!?


 え? 他になんか反応ないの? 僕よりも反応薄くない?


「お疲れさまでした。翔先輩」


「はい?」


 突然、パイプ椅子に座っていたリンが僕にそう告げた。


「記録は5分36秒です」


「なんのこと?」


 もう、訳がわからなかった。


「あ~あ、5分越えちゃったか」


 向こうでは、風花先輩と隼が何かやっているし。


「よっしゃ! それでは、いいんちょ。約束通り……」


「うぅ。わかったよ」


「キスしてください」


「そんな約束してないよ!?」


「ほら、照れない照れない…………ハッ!」


 隼は僕たちの冷たい視線に気がついたようだ。


「うわ~ん。隼くんがキスを迫ってきたよ~。怖かったよ~」


 風花先輩が僕に泣きついてきた。


「よしよし。怖かった怖かった」


 僕は風花先輩の頭を撫でつつ、隼に冷たい視線を向けた。


「ねぇ、止めて。そんな目で見ないで。今のはただのアツいジョークなんだよ」


「いや、せめて軽くになりませんか?」


 隼のボケをリンのそっくりさんは綺麗にツッコンだ。コイツ……やりおる。


 ――『で!』――


「君はいったい誰なんだ?」


 僕は左斜め前に座るリンのそっくりさんに向かって問いかけた。


 僕たちはとりあえず話し合うために、放送室内の長机を三つくっ付けて作った長方形の空間を5人で囲んで座っている。


「それでは、自己紹介を」


 コホン、と一息ついて彼女は自己紹介を始めた。


「双葉レンです。いつもお姉ちゃんがお世話になってます。あ、ちなみにお姉ちゃんとは双子の姉妹です」


 リンのそっくりさんの正体は彼女の双子の妹である双葉レンだった。なるほど双子。どおりでそっくりなわけだ。


「でもさ……」


 と言って僕はレンのことを眺める。


 リンと同じく腰まで伸びた黒髪。今はその黒髪を左右で結びツインテールにしている。その顔立ちは姉妹揃って整っていて、よく似ている。ぶっちゃけ、髪型以外で見分けることはほぼ不可能ではないか?


 そんな彼女は新品のように綺麗な青雲学園の制服に身を包んでいた。


「リンとレンちゃん(?)」


「あ、レンでいいです」


「ああ、分かった……。リンとレンは双子なんだろ? 僕だってリンと一年間も一緒にいるんだし、同学年の僕がレンを知らないのはおかしくない?」


「あぁ、それはだな」


 僕の疑問に目の前に座っているリンが答えた。


「あたしとレンは双子ではあるが同じ学年ではないんだ」

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