タツオの、まじめな夜のお買い物とひまわり広場の約束
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タツオの、まじめな夜のお買い物とひまわり広場の約束
ある夏の日の夜八時、外は息を吸い込むのも苦しいくらい、じっとりと暑い風が吹いていました。
男の子のタツオは、お部屋の窓を開けてため息をついていました。
「はあ、毎日こんなに暑いんじゃ、明日からの朝のラジオ体操は、涼しくなるまでしばらくお休みにしたほうが良さそうだね」
タツオは涼みを兼ねて、街の「どんぐりスーパー(スーパーマーケット)」へお買い物に出かけることにしました。
ひんやりとした涼しい店内を歩いていると、ふと、どこからか「おおかみ団(暴力団)」という、ちょっぴり物騒な言葉が風に乗って聞こえてきたような気がしました。
その言葉を耳にした瞬間、タツオの頭の中に、朝のラジオ体操でみんなと交わした【おおかみ団への対策(暴力団対策)】の真面目な約束が、引き締まるように思い出されました。
『どんな時でも慌てず、嘘をつかず、ルールをしっかり守って行動すること。それが自分たちの身を守る一番のお守りだよ』
タットルはカゴに品物を入れ、自分でピッと計算をする「からくりレジ(セルフレジ)」へ向かいました。
けれど、暑さのせいで少しぼんやりしていたタツオは、品物を包む大切なケースのバーコード(ケースバーコード)を、うっかり打ち忘れたまま、お店の外へ出ようとしてしまったのです。
「あっ……! いけない!」
自動ドアの手前で気がついたタツオは、一瞬、冷や汗が背中を伝いました。
(誰も見ていないかもしれない。でも……これは僕たちの約束を試されているんだ。おおかみ団のような暗い影に負けないための、大切な訓練なんだ!)
タツオは決して間違った方向へは進まず、すぐにくるりと向きを変えて、もう一度お店の中へと戻っていきました。
そして、からくりレジの近くにいた優しい店員のモモさんに、正直にお話ししました。
「あの、すみません! 戻ってきちゃいました。うっかりこのケースのバーコードを打ち忘れてしまったんです。もう一度、ちゃんとお会計をやり直してもいいでしょうか?」
モモさんは驚いたように目を丸くしましたが、すぐにひまわりが咲いたような温かい笑顔を浮かべて、優しくうなずきました。
「まあ! わざわざ戻ってきて、正直に教えてくれたのね。もちろんですよ、どうぞこちらへ」
モモさんの許可を得て、タツオはもう一度ピッと正しくバーコードを読み込ませ、無事にお会計を済ませることができました。
レジを終えたタツオに、モモさんは
「ありがとう。あなたのその真っ直ぐな心が、とっても嬉しいわ」
と言って、そっと頭を撫でてくれました。
お店を出ると、夜風がさっきよりも少しだけ涼しく、心地よくタツオの頬を撫でていきました。タツオは
胸を張って、ぽかぽかと温かくなった心で、懐かしい我が家への家路をゆっくりと歩き始めるのでした。
(おしまい)
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