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第070語 深まる謎


 わたしの憶測だけでは、村の人を疑えとは言えない。

 ローズライトさんは、村長さんの家まで様子を見に来ていた二人に塩獣が出る洞窟の場所を聞いた。ローズライトさんから聞かれた二人は焦ったようにお互いを見る。

 怪しいと思ってしまったから、そんな動きですら何かを隠しているような気がしてしまう。


「村長からの指示だ。場所を知っているなら、すぐに案内してほしい」

「あ、ああ。わかった」


 ローズライトさんの言葉を受けて動き出したのは、地の魔法師。もう一人も同じ属性だ。

 その二人を追うように、わたし達も後に続く。


 地の魔法師達。全く見たことがないわけじゃないけど、名前までは知らない。ルベルだったらわかるかな。

 でも、わたしですら見たことがあるような気がするなら、この人達は昔からいたってこと?


 塩獣の巣穴まで案内する二人を怪しみながら進み、リヴィエリ山にある洞窟らしき場所に到着。出入口を支えるためと思われる、木枠が見えた。


「おい、お前ら! どうしたんだ!!」


 洞窟の前で、火と地の魔法師四人が倒れていた。駆け寄った二人の様子から察するに、本当に心配しているように見える。

 この四人の死を知らされていなかったのか、心配している演技か。それとも本当に、村の仲間として心配している――つまりは、無実か。


 ローズライトさんが四人の生死を確認する。首を振り、四人とも亡くなっているとわかった。


「塩獣が出るという洞窟はどこだ」

「どこって……なんだこりゃ!? 塞がってるじゃねえか!!」


 ローズライトさんからの質問に答えた地の魔法師が、本来は洞窟になっているはずの場所を見て驚いた。

 わざとらしくも見えたし、本当に驚いているようにも見える。どっちだろう。

 村から一緒に来た地の魔法師達は、埋められた洞窟を魔法で崩していく。土には土を。二人の行動によって、すぐに洞窟の出入り口を塞いでいた土が除去された。


「ルベル!!」

「アンネ!? 無事か!?」


 洞窟の中に、ルベル達他のみんなが見えた。でも、想像した人数よりも少ない。いつから閉じこめられていたんだろう。衰弱しているように見える。

 中にいたメンバーの中に、何人か地属性の魔法師がいた。中にいたのなら、外に出られたと思うんだけど。

 いや、特に衰弱しているように見えるのが地属性の人だ。それなら、外に出られなくても問題ないかな?


 わたしでは判断できない。ローズライトさんに相談してみるにしても、もっと確証がないとダメだよね。

 死んでしまった四人を抱える人と、洞窟に閉じこめられていた人達と。大所帯で塩獣の洞窟を離れる。

 村へ戻る道中、ルベルと話した。


「ねぇ、ルベル。一体何があったの?」

「アンネ達が村から出た後、急に何人もの住人が村を襲い始めた」

「えっ? 村から出てすぐ?」

「ああ、わりとすぐだったと思う。追い立てられるように、あの洞窟に入って……」

「じゃぁ、村が火事で壊滅状態ってことは知らない?」

「マジかよ!?」


 ルベルは、村長さんに操られている可能性があった。でもこの様子を見ると、今は正常な状態みたい。

 それに話を聞いていると、中にいた地属性の人達は、自分達を守るために出入口を塞いだのかも。外よりも中の方が人数もいた。代わる代わる役割を交代して守っていたのかもしれない。

 なるほど。衰弱していたのは、そういう理由だったのか。


「ねぇ、さっき言っていた何人もの住人って、どれくらいの人数?」

「あー……おれが確認できたのは、五人くらいか? もっといたかもしれない。あの時は村のみんなを守ろうと必死だったから」

「そんなに……」

「なあ、アンネ。一体、村の中で何が起きているんだ?」


 ルベルの疑問はもっともだ。

 というか、話を聞いていて本当に怖くなる。少なくても、ルベルは五人の敵対者を発見した。でも、まだいるはずだ。人も少ないし、火属性の魔法師もいなかったし。


 もしかして、いなくなった魔法師はどこかへ逃げた? 役割を終えて?

 洞窟の前で死んでいた人達は? どうして死んでいたの?

 ダメだ。確証を得てからと思ったけど、ローズライトさんに相談してみよう。


 後ろにいるローズライトさんと話そうと振り返ろうとしたら、ルベルに二の腕を掴まれた。


「なあ、アンネ。村から出ている間、何もなかったのか」

「何って、何が?」

「あ、いや……ないなら、良いんだ」


 聞きたいことは聞いたはずなのに、ルベルが手を離してくれない。どうしたのかと思って目を見ると、いつの間にか虚ろになっていた。


「ルベル! ルベル!!」

「アンネ殿? どうした」

「ローズライトさんっ。ルベルが……」


 ローズライトさんにルベルの目が虚ろになっていることを報告しようとしたら、羽交い締めをされるように背後から抱きつかれた。その間も、二の腕から手を離さない。というか、ずっと揉まれている。


「ルベル! 正気に戻れ!」

「ルベル! 正気に戻ってよ!」


 ルベルの方に、少し顔を向けた。

 その瞬間、ルベルがパッと離れる。そして顔を真っ赤にして、集団の誰よりも早く村へ戻って行った。

 解放されたものの、どうしてあそこで顔を赤くしたのかわからない。


「アンネ殿、無事か」

「あぁ、はい。力は、強くなかったので」


 なぜあんなに二の腕を揉まれていたのかがわからない。首を傾げながら揉まれていた腕を触っていたら、ザドルさんがわたしの二の腕を見ていた。


「あ、あの? ザドルさん??」


 わたしと目が合うと、パッとそらされた。あの反応。何か知っているのかな。

 ローズライトさんも、ザドルさんの態度を不審に思ったみたい。知っていることは話せとザドルさんを追求している。

 ちらりと、わたしを見たザドルさん。その態度をローズライトさんに注意されてる。


 その後、ザドルさんから話を聞いたローズライトさんが頭を抱えた。気になってその内容を聞いたら、ローズライトさんはとても言いづらそうに教えてくれた。自衛は大事だと言葉を添えて。

 ザドルさんはコナーさんから聞いたみたい。曰く。

 女の人の二の腕は、胸の柔らかさと同じ、らしい。


 その話を聞いて、妙に納得した。あれだけルベルがわたしの二の腕を触っていたのも、顔を真っ赤にして離れていったのも。


 ……聞かなければ良かった。


 ルベルも十八歳のお年頃。偶然触っちゃったんだろうけど、すぐに離してくれれば良かったのに。

 男の人としたら、気になるところ? 何というか、本能的に動いていたような気がする。


 ルベルに二の腕を揉まれたことよりも、ローズライトさんみたいな真面目な人でも女の人の二の腕を触りたいのかなって思った。





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