カラメロ
「ぺぎあ゛あ゛あ゛!!!」
朝5時30分、人のものとは思えない声を発する物体は、レイティーンちゃんだ。
「お嬢様!?」
しまった!お嬢様は大変だあ。
「なんでもない。下がってもらえると助かります」
この人、ほんとにレイティーンか?彼女の優秀な使い魔だが、完璧な名にしないと気が済まなかったレイティーンにより名前が保留になっていた、仮に、「タマちゃん」としておく猫が言う。人語が話せるのは使い魔の証だ。しかし、レイティーンはいちいちおどろいている。
「話してる……」
「どうしたって言うんだ?俺が話したくらいで?」
「こっちの不思議なことには、まだ慣れなくて…」
タマちゃんが不思議そうなので、状況を説明しよう。しかし、呼びづらい。
「説明の前に、名前決めるね!」
「お、やっとか!」
何にしよう。私はネーミングセンスがありすぎる。例えば、私が前世一人暮らしで飼っていた犬は、「スーパーハイパードッグ太郎」ちゃんだった。友達にその名前を言ったら、スバらしさに若干驚いたような顔で、「いっ、いいね」と言っていた。
「んん〜、キャラメル色の毛だから、『スペイン』語でキャラメルで…『カラメロ』?
でも物足りないから…『サンダースパイクリングカラメロッチ三号』かな?
どう?」
「全然物足りなくないから、そのカラメロってやつにしてくれ!というか三号はどっから出てきた!?」
「ただの直感」
「はあ。」
「俺はカラメロ。レイティーン・ド・リキャリニスの正式な使い魔カラメロとして生きることを誓います」
そのとたん私たちの周りを色とりどりの暖色系の光が渦巻き、降り注いだ。
「ほら、レイティーンも誓いの言葉言ったら?」
「ええっと?なんだっけ?」
「はあ。繰り返してね。我はカラメロの主として共に生きることを誓う。」
「我はカラメロの主として共に生きることを誓う。」
光が寒色系に変わり、数秒程度降り注いで消えた。
「わあ、異世界だあ」
「異世界?」
説明すべき時が、ついにきた。