決闘!
なんなんだこのばか力…。半端じゃない。
ずるずるずると引っ張られながら、あまり感情が動かないはずのギーシャは頭を抱える。
だが、ちょっと力が強いだけの女の子だ。勝てる…カテル
「ぐあっ!!」
勘違いしないでほしい。決してやられたのではない。移動音だ。飛ばすなんて安全性が不確かだ!そう反論したのに…。
「ギーシャは、怖いんだな」
「か、からかうな!この私が怖いなど…」
「はいはい、可愛い可愛い」
「っ!」撫でられた…。あのギーシュに…。私の方が精神年齢高いと思ってたのに…。
「お〜い、嬢ちゃん。不甲斐ないことに家のギーシャが死にそうだ」
「う〜ん、仕方ないですね」
降りれる!そう内心ホッとしたのに…
「急ぎましょう!」
三倍くらいの速さにすんなよ〜!
「はぁはぁはぁ〜。」
酔った。めっちゃ吐いた。だが、その前に一つだけ確信したことがある。リールは風属性だ。かりに火か水少しがつかえたとしても、あんだけ風属性に長けているなら反対の属性である土は使えまい。対して私は土の上級魔道士。こんなクールな雰囲気で土とは意外だったとよく言われるが、とげの生えた植物を使って攻撃するのが普段だ。対して、ギーシュは火属性の魔力を持っているが魔道士適性が低いため、剣の刀身に炎を纏わせ斬り込む。このペアはレイティーンとちょうど属性が対極で、これならこのばか力ちゃんにも勝てるはずだ。
「大丈夫か?また夢の国へ飛んでいたが」
「あ、ああ…。ちょっと休ませてくれ。」
まだ戦う前なのに疲れてしまった。もしやレイティーンの狙いはそれ!?いや、彼女も大きく魔力を消費しているだろう。
「るんるるんるる〜ん!」
だめだ、楽しそうに歌っているだけでなんも理解できない…。
「ギーシャ?体調が悪いのか?」
「なんで、そんなに気楽なんだよ…」
「お騒がせしました。体調が戻った為、試合を開始しましょう。」
「ルールは4つ。死に至る攻撃は反則とみなす。防具の損傷は自己負担。相手が降伏した場合の攻撃の禁止。相手の降伏または相手が戦闘不可担った場合は速やかに書類に記名をし、誓約を交わす。異論は?」
少しふざけているのだろうと思っていたが…想像以上に真剣だ。
「「ない」」
「では、双方離れてください。…よ〜い、はじめ!」
…へ?
「あのう、攻撃は?」
「いや、そっちこそ俺たちに攻撃は?」
「あ、先どうぞ。ちょっとしたら、反撃しようかな」
な、何を言うんだ!?この小娘…。あぁ、冷戦沈着キャラ保ってきたのに、この娘のせいで崩れてく…。
もういい!やるぞ!こんな茶番、つきあってらんねぇ!
「ギーシュ!おうよ!」
いつもの方法。ギーシュの切り込みで時間を稼いで私が殲滅する。いや、あの娘ならギーシュだけで済むか?
とりあえず短縮詠唱で様子見…
「土の神キレーメよ、我に…!?」
炎を軽く纏って打ち込みに行ったギーシュから、目が離せなくなる。表情一つ変えずに、いや、むしろ笑顔でレイティーンが指を突きだした。真っすぐに伸ばされた人さし指に魔力が宿る。円形に渦巻いた水がギーシュを狙って高速で打ち飛ばされ、彼の炎が消えた。
え…?あの炎、すっごい強いんだぜ?唇が結ばれたままだから、無詠唱なのに…。水と風が相当強いということは、氷も使ってくる!
読み通り、彼女はそのまま氷の壁で周りを覆う。
火が消えたことに心から驚きつつ、ギーシュが突進していく。
キーン
氷が削れて2人の様子が見えなくなる。強い!そう本能で感じて、より魔法の効果が強まるよう走り出す。
「大いなる…」
剣が、足元に転がってきた…。刃がかけている
「相当硬いね!それ」
信じられない…。国宝級の名剣が、氷魔法でかける!?
だが、氷は薄くなっている
「力を我に授け給え!」
短縮詠唱ではあったが、込められる限り魔力を込めた。薄くなっている氷を貫通する、私の植物たち。
さっきの衝撃でギーシュは吹っ飛んで、初夏の草原に埋もれている。自分の足元にある植物の根っこに魔力を込め、祈るように先をみる。貫通した部分から、レイティーンの様子が見える。フードも取らず、ほとんど見えていないはずの視界の中、口元にキレイな笑みを浮かべたまま両手を前に揃えて突きだしていた。そして使われているのは…闇魔法!?三属性だなんて、ありえない…。そして私の植物はその闇に吸い込まれて消えていく。
「あ…」
今見た光景のショックと、魔力の使いすぎでふらっとする。もう、だめだ…。




