ギーシュとギーシャ②
ピヨピヨ
気持ち良いとりのさえずりに起こされる。さて、私は毛並みを整えて、我が主のレイティーンは優雅にドレスを着て、刺繍をしながらモーニングティーを…
なんて、行くはずはなく!
「おはようございます!お嬢様!!部下が増える日ですよ!!」
「ええ、おはよう!今日のコンディションもバッチリよ!」
刺繍とモーニングティーの代わりに、シャドーボクシングとプロテインでした…。
「まずは2人ともご飯食べてっ!」
「「は〜い」」
ムシャムシャムシャムシャ
「うん、朝のパンは500グラムまでってきめたよね?守ろうね?」
念の為用意されていた2キロのパンがレイティーンとリリによって片付けられていく…。
今日も主と同僚の世話で大変です。
う〜ん!今日も気持ちいい目覚め!シャドーボクシングの切れ味もバッチリ!まあ、カラメロからの叱責は気にしないでおこう…
「とりあえずギルドにいきますか?」
上機嫌のリリが聞いてくる。また2人私に部下が増える瞬間をその目に焼き付けるのだそうだ。キラッキラの目の狂信者様に若干戦々恐々としながら、
「そうね、昨日の報酬が今日もらえるみたいだし」
そう答えて、冒険者リールの定番服に着替えさせてもらう。リリも着替え終わり、皆で変身用のローブを被る。
ギーシュとギーシャには私の正体は知らせないつもりだ。それでも部下はできる。
「最近これは素晴らしい移動法だと気づきました!やはりお嬢様バンザイ!」
飛ばされながらそう叫ぶリリは、根性の塊だ。まあ、彼女にお願いしたときの楽しいことを教えてあげる、は達成できていそうだ。こんな楽しみでいいのか?とかは、敢えて考えない。私のなかのラクしたい私がそう言っている…。
三半規管が弱いのかいつも通りふらふらなカラメロとリリを連れてギルドへ入る。柱時計が示す時間はまだ8時。
冒険者は昼から夜にかけてよく活動するため、受付のジュロン以外いなかった。いや、受付はジュロンじゃないな。彼の同僚のメルさんだ。可憐な見た目の若い女性だが、実は腕っぷしが強くて、理不尽な文句を言ってくる冒険者をヒネリアゲタコトガアルラシイ。こっわ。
しかし、私が怪しいものではないことはカードを作ったジュロンから聞いているし、炎ガエルの討伐で印象が良くなったようだ。笑顔で出迎えてくれる。
「さっそく報酬をお渡ししたいのですが、その前に…」
え?なぜかFランクのギルド証を取られて真紅のカードへ変えられる。つ、つまりCランク!?
そしてリリのはEランクの青へ。
「ふぇ!?」
「う〜ん、Cではまだ低いですが、やっとお嬢様の評価が正統になってきたってことですね!」
いや、どういうこと!?え?そんなランクってほいほいあがんの!?
「通常ランクとは1年くらいかけて一つあげるものです。FランクからEへだとそこくらいですが、その後はもうあがらない人もいます。」
「ですよね!?」
「しかし、リール様のこの度の功績はランクを上げずにいられるものではございません。ギルド長に掛け合った結果、2つまでならあげることが許されました。また、リリさんも、フォグネスの花がこんなにとれることなどないのです。これは大事だと、ランクをあげさせていただきました。」
「え?あの、炎ガエル倒したの私だって、言いましたっけ?」
「ジュロンさんからそのように」
おい、ジュロン〜!平和に過ごしたかった…。まあ、こうなったら無双するしかないね!
なにやら呆けたあとに決意したらしいリールさん。
上の酒場で待たせてほしいとおっしゃっていたギーシュさんギーシャさんが降りてきましたね。
「おめでとう、Cランク冒険者さん。だけどね、こっちはAランク2人」
「お前たちが強いのは認めてやるから、ケガしないうちに帰ったほうがいいぞ」
「ディシカル高原とか、どんだけ遠く行くつもりなんだ?」
「あ、ギーシュとギーシャ!行きましょう!!」
「俺たちの話聞いてた?」
「私たちの話聞いてました?」
「おお〜息ぴったり!宴会芸になる!」
ずるずるずる
あらあら、引きずられていきました。どちらがどちらを、かは、力関係を普通に想像した場合の逆の方ですね。
噂話が好き、などと言って彼女たちに近づいた彼等ですが、本当はギルドでいつも浮いていました。
リールさんは新しい風を吹かせる天才ですね。私もお陰でずっと気になっていたジュロンさんと彼女の話をするという名目で話せるようになりました。この気持ちは、まだ誰にも内緒です。将来、リールさんに打ち明けて恋バナするのも、楽しいがしれませんね。




