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誕生日会からの…?

そんな訳で狂信者が誕生したのは何気に1ヶ月前。あの後リリにも転生の事情を話し、協力してもらえることになった。まあ、そこから情報が漏れるかわからないので、転生者だということしか話していない。狂信者様に将来王太子に殺されるかもなどといったら国家反逆罪を目論みかねないし…。

私は、まだ魔法は使えないが、もう公爵邸の庭を散歩できるくらいには回復していた。

「お嬢様!」

「なあにリリ」

「もう私たち学園の座学バッチリですね!」

「ええそうね」

柔らかな芝生の上を踏み締める。時は5月。5月30日。離れの庭といってもさすが公爵邸。広さは十分にあるからと、リリに散歩に連れ出されたのだ。今日はレイティーンの誕生日。流石のリリも教えていないものは知らないだろうから慎ましくお祝いしようと思う!




「東屋にパーティーの準備をさせていただきました!」

「いや、フラグ回収早すぎい!」

「ふらぐ?また変なこと言ってるねレイティーン」いつの間にか肩に乗っていたカラメロに突っ込まれてしまった。

「ま、また」

「いつも変なこと言ってるじゃん」

「心の傷を抉る達人のようですね」こういう時こそ狂信者が助けてくれればいいものを、

「まあ、変なのは変ですよね」同意しないでえ!

「仲がよろしいですね」

「あ、ジェリーもいたのね」誰も祝ってくれるような人がいなかった時期から比べると私はずいぶんがんばたたえカラメロとリリとジェリーという仲間を獲得したんだわ

「椅子が一つしかないのはなぜ?」

「お嬢様とメイドが同じ場で席に座るなんて!」

「いいのよ。みんなの分も持ってきて。カラメロは机の隅っこに乗るから二脚でいいわ」

「お嬢様はやっぱり女神です!持ってきます〜」

「今のなかなか慈悲深そうな感じでてたわよね!」小声でカラメロに聞いたら、

「いや、私にはわかる。1人で食べていいことになったら調子に乗ってここのお菓子全部食べちゃって太るから、とかいう理由で他の人も呼んだのが」

「ぐはっ」


「椅子持ってきましたよ〜。あれ?お嬢様どうかされたんですか?」

「な、なんでもないわよ」




「「「改めまして、誕生日おめでとうございます!」」」

「ありがとう」

「たくさんのお菓子を用意しましたがその中でもおすすめなのはこれなのです!」

「あら、それ半日は並ばないと買えない、人気店のガトー・オペラですね」

「なんですと!?ジェリーそれ本当?」

「はい。ねえ、リリ」

「そうなのです!頑張って並びました!」

ガトーオペラは前世フランスにもあった食べ物で、コーヒー風味のスポンジとクリームに、表面を覆う上質なチョコレートグラサージュが万人をも魅了する少し大人な食べ物である。一度は食べてみたかったのにそれが叶わぬまま死んでしまった…。今、その願いが叶うだなんて!!

「いっただきます!」



「んん〜。濃厚な甘さが口の中でとろける〜。これぞケーキの中のケーキ!」

「喜んでいただけたようでよかったです!このマカロンも美味しいですよ。あ〜ん」

「あ〜ん」もぐもぐ


(なんだかすっかり餌付けされてしまっているような気が…?)



ザッザッ

「何人かの足音がしません?」

「そうですね…」

「私は聞こえませんが…」

「少し様子みてくる」

「あっカラメロ!大丈夫よ。きっと気のせい。」

「そうかしら?まあいいや」



「た、大変ですっ!う、お、おう」

「なんなの?はっきりおっしゃって」





「ふうん、メイドとともに同じ場で席に座って誕生日会とは、噂によらず随分と優しいご令嬢のようだね」


これは、あどけなさは残るけど、この声は。心臓がバクバクと音を立てる。白い手袋の内側の手が汗で蒸されて力が抜けていく。動悸が激しくなる。この世界で、一番会ってはいけない人。束の間の時間が楽しすぎて、すっかり忘れていた。この世界で私は、お邪魔虫の悪役令嬢なんだって。はあはあと荒い息が漏れる。あの人がここにいる訳ない。大丈夫。そう言い聞かせて、最悪の予想を否定するために顔を上げると…


「ご機嫌麗しゅう、美しい御令嬢」

ありえないと思った人が、サイドに何人かのお供を連れて立っていた。

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