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大迷惑
父、和博が頑張り建てたローン35年のマイホームが完成した翌年、言い渡された転勤。母、麻由子は発狂し奥田民生の大迷惑を歌い出し当時4歳だった妹の真莉はいつも穏やかな母が発狂している姿に驚き大泣きした。もう10年も前のことだ。
大恋愛の末結婚し今でも手を繋ぎ出かけるほど父大好きな母には、父一人を単身赴任に行かせるという選択肢はなかった。
この度、父和博が出世しこの地に戻ってくることができた。栄転である。
母麻由子は、大いに喜んだ。泣いていた。 妹の真莉は、転校したくないと渋り友との別れを惜しみ大泣きしていた。
当時6歳だった俺、三島大和はこの度高校1年生だ。
友達は俺のこと覚えているのであろうか?
あの子…由紀ちゃんはどうかな?
別れの日泣きながら手を振り手紙をくれた由紀ちゃん。初恋の由紀ちゃん。確か同じ高校らしい。
新しい生活と由紀ちゃんの再会を楽しみに俺は荷造りをした。