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ユビ La fingro




 小指で約束をするなど、少し恥ずかしい。彼が言いだしたことなのに、その指はガラス片のように冷たかった。わたしは手際よく制服を着て、年上の恋人の住まいを去った。気にはしない、このあと彼が、指先でほかのひとのやわらかさやかたさをたのしもうとも。恋の世界では、太陽や月がいくつ頭のうえを無邪気にめぐろうと、かまわないのだから。わたしも次の約束にむかって急ぐ。かたい、割れた冬の街を踏みながら。あたたかい小指を手袋のなかでつくりながら。



 Fino






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