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ホン La libro




 糸のようなふん・・を付けて星が碧雲の浮かぶ空を泳ぎ去る。

 わたしは拳銃を一丁持ち、本を取り返しに行く。

 群衆で満ちている広場。そこでは一冊の本が、二頭の水牛に結びつけられた綱によりこれから裂かれるところ。

 本のなかにはわたしの双子の姉が封じられている。生け贄として無様に裂かれ、神々をいっとき悦ばせるのだ。

 神は群衆にむかって言うだろう、お前たちはわたしの分け身、勇敢にして清浄なる者たち、特別な子たち。励むがいい、戦うがいい、大いに殖え栄えるがいい。

 群衆たちは酒を浴びたように酔うだろう、だがその時すでに神々は群衆のことも本のことも忘れてしまっているだろう……。

 わたしの銃に弾丸は入っておらず、どう戦えばよいのかもわからない。群衆はわたしの正体にすぐに気づき、邪魔はせず笑いをこらえるような表情をむけて見守っている。

 恐れる気持ちは、星にふんを垂らされ群衆がわっと大笑いした時に消え去った。

 水牛の尻が叩かれた。勇敢にして清浄なる者たちが住まう街、その中心で今裂かれようとしている本、わたしが書いた本にむけてわたしは駆けた。

 手がもう少しで届く。




 Fino




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