第72話 検討
「あーできるっすよ。社員なら自由にシステム使っていいって言われてるっすから、どこの店でも注文して、出してもらえるっす」
『マジか。ポイントは?』
「お仕事でやってないから適用外っす」
『チッ……まあ仕方ない』
「というわけで、移動もグルメもボクにどーんと任せるっす!」
『一週間飛んだり運転しっぱなしなのって平気なの?』
「できることなら一生乗り回していたいっす」
『……』
「毎日数時間寝ていれば何の問題もないっすよ! ホテルとかにも泊まらないでも平気っす」
『それはさすがに気が引けるから宿泊代くらいは出すよ』
「まじすか!?」
『移動の経費がゼロっていうなら、そのくらいはしないと、なんだか申し訳ないというか……』
「一緒の部屋でお泊りっすか!?」
『別室な』
「ブー」
『なにがブーだ』
「枕投げとかしたいっす」
『お断りします』
『現地での車のレンタルはどうしようか。レンタルできなかったら現地でほぼ何も出来ないよね』
「ふふふ……甘いっすね! ボクがとっておきの機体を借りるっすよ!」
『まさか……空飛ぶクルマ?』
「いや、アレは別に空を飛んだり道を走ったりするって仕組みじゃなかったっす。ちょっと大きめの機体に車を積んで飛ぶんすよ」
『なんかスーパーヒーロー系のドラマかなんかで見たことあるな……』
「あーそういうのっす! 偉い人がノリで作ったけど、普段あんまり使う機会が無くて放置されてて悲しいから、どんどん借りてほしいって言ってたっす」
『まあ頻繁に使うようなモノでもないだろうな……』
「今回の旅にちょうどいいじゃないっすか! なんなら中で寝泊まりもできるっすよ!」
『ふーん……でも毎日それだと、なんか興が覚めちゃいそうな感じがするな……一泊くらいなら気分転換にもなっていいかも』
「そんなもんすかねぇ」
『あ、そういえば入国審査とかどうするんだろ。そもそもパスポート持ってる?』
「持ってないっす」
『それじゃ外国行けないじゃん……そもそもココが何の国なのか、いまいち不明だったりするんだけど』
「去年の暮れにちょっと海の向こうに行っちゃってまっすけど……」
『え、勝手に行っちゃったの!?』
「偉い人にジェットを借りるときに行先は言ってあるっす。そもそも管制に従って飛んでるっすから、無断でやらかしたってことは無いハズっす……」
『あ、そうか、管制の仕組みもあるのか……そうだよな。さすがに勝手に飛んでたら危険だもんな。そこらの道だってスカスカでも信号がちゃんと機能してるんだし』
「たぶん大丈夫なんじゃないっすかね……」
『まあそこらへんは今度私が聞いておくよ』
「よろしくおねがいしまっす」
『パスポート無しでアウトだったら、この話は流れるから』
「ヤダー!!!!!!! ヤダヤダヤダヤダ!!!!!」
『うるさいなあ』
「ちょっとパスポート取りに行ってくるっす」
『できるかねえ……』
「パスポートセンターに来たっすけど、誰もいないっす……」
『だと思った』
「うあああーーー!!! もうダメっす! この世の終わりっす!!!!!」
『ホントうるさいなあ、まったく』
「ちょっと偉い人に話つけるっす」
『それだけはやめとけ』
「えー!」
『私が聞いておくっていっただろ。お前パスポートの事なんにも知らないみたいだから話がややこしくなるだけだ。任せとけって。多分なんとかなるだろ』
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