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リア充は絶滅しました  作者: @OhMyBrokenAI
第1部 リア充は絶滅しました
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第7話 日常

 ピーッ、ピーッ、と音がする。ああ、いつもの収集車か。普段と変わらない日常の始まり――うん? 今日はごみの日だっけ? ま、いっか。


「……前までは、こんなに収集車の音は気にならなかったな」




 今日の作業はこれで終わり、っと……お、集中してたからか気づかなかった、もう置き配は済んでいるようだ。昨日ふと思い立って、ネット注文が普通にできるのか試してみたのだ。イヤーパッドがボロボロになってバンドもユルユルになってしまった安物のヘッドホンの補充をした。


 最近あんまり安く手に入らないんだよね、困ったもんだ。みんなワイヤレスの充電式イヤホンに御執心なのかな。あんなもん、いちいち充電するのメンドクサく無いんだろうか。片耳分だけ無くなったりしそうだし、値段が高いし、何を好きこのんで使ってるんだろう。まあ人の事なんかどうでもいいか。どうせ身の回りには誰もいないことだしね。


「よし、ちゃんと届いている……あ、でも音漏れとか、もう気にしなくても良かったかな……?」


 しまった……これ、もう買うのは止めようか? この届いちゃった品は、まあ一応、もしかしたら使う場面とか今後あるかもしれないから、開封せずに保存しておこうか。うーん、それにしても、いろいろウッカリしてしまうことが多いな……もう日常は変わったんだから、しっかり対応していかないと。


「そろそろスーパーとか行ってみようかと思ってたけど、ちゃんと下調べをした方が良いかな?」


 何も考えずにフラッと行ってしまうと失敗しそうだ。大量の買い物かごを抱えて無人のレジで途方に暮れるとか嫌すぎる。一日、時間をかけて事前に調査すべきだな。明日調査をして明後日でかけることにしようか。


「でもまあ、節約とか気にしなければ全部ネットで済ませられそうなのは心強い」


 昨日、配達してるっぽいトラックを見かけたから、試してみて正解だった。ネットが普通に日常通りなのであれば、私にとっては身の回りの世界がちょっと可笑しくなっていることなど、本当にただ可笑しいだけだ。可笑しいどころか過ごしやすくて助かる。良いことずくめだ。


「この新しい日常は神様がプレゼントしてくれたのだろうか……そんなわけないか」


 ふとした瞬間に嫌な気分にさせられることが無いせいか、最近はリラックスできている。足の裏はちょっと皮が剥けちゃって痛いけど、そんなことは些細なことだ。こうなる前までは、どうしても視覚とか聴覚とかを介して、見たり聞いたりしたくないモノがやってきて、その度に怠かった。あいつら……


 そう、死語になったとか言われたりしている、あのリア充どもだ。死語になったんじゃなくて、死んだんじゃないのか? ネットでは相変わらず見かけるものの、所詮あんなものは幻想だ。ネットの先に居ようが居まいが、どうでもいい。今、私の周りに居ないことが重要だ。


「……リア充は絶滅しました、か」


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