第61話 勧誘
「今回のこのお店もそうだけど、普通に全国展開してる店だよね。店員とかって普通にいるもんなの?」
「店員さんがいる店に当たったことは無いっすね」
「いつも無人? ヘアーサロンみたいなことも無い?」
「そういう店もあるにはあるっすけど、配達はやってなくて、直接そのお店に出向いて食べる感じっすよ」
「あ、そういうのあるんだ。ちなみに何のお店?」
「ボクが知ってるのはお寿司屋さんとラーメン屋さんっすね」
「寿司……だと……!? まさか回らない系じゃ――」
「超ヤバイお店っす」
「……なんでそんな店を知ってるんだよ」
「たまに送り迎えすることがあるっす」
……タイトル崩壊の危機!?
「イロンナヒトガイルンダネー」
「なんか新しい仕事始めたそうじゃないっすか。一発当てたら奢ってくれまっすよね!? エスコートはお任せくださいっす!」
「エスコートって……それに報酬はポイント払いだから無理だなー」
「ええー!? ……今度交渉してみるっすかねー」
「今なんて?」
「な、なんでもないっす! それよりラーメン屋のほうならオススメっすよ! 行ってもなかなかお店開いてないことが多いんすけど、開いてたらラッキーっす! 美味しいラーメンにありつけるんす!」
「なんかすごい頑固親父が頭に浮かんだんだが……」
「気まぐれギャルの天然ラーメンが売りっす!」
「……」
「とにかく店が開いてると中に入るじゃないっすか。そしたらギャル店主のマシンガントークが始まって、気がついたら目の前にラーメンがドンって置かれるんす」
「え、注文は?」
「そんなもの存在しないっす」
「いつも同じ品が出てくるの?」
「毎回全然違うっす。ラーメンなのかどうかもよく判らなかったりするっす!」
「……」
「連れていきたいのはやまやまなんすけど、とにかく行っても開いてないことがほとんどなんすよね。いつもの配達の仕事の終わりに寄ってみて、たまーに開いてたら駆け込むんすよ」
「いや、無理に行かないでもいいかなあ……」
「そうっすか? 今度開いてたらDMしてもいいっすよ?」
「その店ってこの近くなの?」
「歩いて10分くらいっすかね」
「近いな」
「だんだん興味がわいてきたっすか?」
「いや、特には……」
「ま、テキトーに報告するっすから、気が変わったらいつでもどうぞっすー」
「お前はそこの店員か」
「まぁファンかもしれないっすねー」
「……おいしいの?」
「マズかったことは無いっすよ。初見でグエッてなったことはあるっすけど」
「マジか」
「でも店主の圧が凄いっすから、食べないわけにはいかないんす。そして恐る恐る食べると……おいしいんすねーなぜか。ミラクルっす」
「話を聞いている分には楽しめるな」
「一度行くといいっすよ! 散歩のついでにでも寄ってみるといいんじゃないっすか?」
「あーそういうの、不可能ではないのか」
「お店の場所、教えまっすか?」
「うーん……」
「後悔はさせないっすよ!」
「だからお前はそのお店の何なんだよ」
うん、マジで近いね、このお店。うちの近くって本当にいろいろあったんだなあ。灯台下暗しってヤツ? 毎日の散歩コースに組み込むまでもなく、そのコースの途中にあった……でもラーメン屋なんて見たことあったか? お店が開いているような気配とかも感じたことは無いんだが……冗談抜きでレアなのかな……
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