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皇帝陛下のお世話係〜女官暮らしが幸せすぎて後宮から出られません〜  作者: 柊 一葉
第三部

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黒兎①

 紫釉(シユ)様は、いよいよ明日六歳をお迎えになる。

 宮廷も後宮も華やかに飾り付けられ、光燕(こうえん)各地の有力貴族はもちろん、諸外国の使者も続々と集まってきている。


 後宮の塔の上からあまたの人の行列を見た紫釉(シユ)様は、きっとその中に(チュアン)国からの一行もいるのだと思って口を開いた。


「母上は文を読んでくれただろうか?」

「……ええ、きっと」


 その言葉には、返事は来るだろうかという期待が込められていた。

 私は、返事がきてほしいという願いを込めて答える。


 紫釉(シユ)様が母君に文を出し、もう四ヶ月ほど経つ。

 表向きはやりとりができないため、蒼蓮様が秘密裏に配下の者たちに届けさせたと聞いている。


紫釉(シユ)様のお心は伝わっておりますよ」


 私には励ますことしかできないけれど、どうか紫釉(シユ)様が喜ぶような返事が来てほしい。

 小さな手に握り締めた文箱には、雪梅(シュエメイ)妃が残した文が入っていた。


 ふとここで、背後から低い声がかかる。


紫釉(シユ)陛下、ここにおられましたか」

「蒼蓮」


 振り返った紫釉(シユ)様は、すっかり心を許した叔父・蒼蓮様のお姿を見てうれしそうな顔になる。

 私たちはいっせいに礼の姿勢を取り、蒼蓮様をお迎えした。


紫釉(シユ)陛下、春とはいえここはまだ冷えます。蒼蓮と共に、生誕祭のお衣装を見に、中へ入りませぬか?」


「それは、明日着るという衣か?」


「はい。ぜひ着てみせてください。お父上が幼い頃に着ておられた衣と、似た形で作らせましたので」


「父上の?」


「はい、きっとお似合いになります」


 若くして亡くなられた先帝様と、紫釉(シユ)様はよく似ておられたらしい。

 蒼蓮様がきっと似合うとおっしゃるなら、そうなのだろう。私も楽しみに思った。


 でも、今は何よりやることがある。


 ──よかった。これでひとまず紫釉(シユ)様より先に贈り物を確認する時間が取れる。


 生誕祭までに、たくさんの贈り物が近隣諸国から届いている。その中には、紫釉(シユ)様の母君である雪梅(シュエメイ)妃のいる(チュアン)も当然あって……。

 もしも文のお返事があるなら、ひそかに届いているかもしれない。

 私たちは、絶対に見つけなければと意気込んでいた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新を待っていたのでうれしいです [気になる点] 57と被っている文章がおおいのですが、わざと?
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